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「言いたくないならそれでも良いんだけど」



しどろもどろの彼が流石に不憫になり、私はそうそうに引き下がる事にした。

するとゼロスはあからさまにホッとした表情を見せ「……すみません」と小さく謝罪の言葉を口にする。



「別に謝ることじゃないでしょ」



言いたくない事、言えない事というのは誰にだってある。

勿論私にも。



「取りあえずゼロスだけ()け者にしてる訳じゃないから」

「…………はい」

「と言うか、除け者にされたと思って寂しがるなんて、ゼロスも可愛い所があるんだね?」

「…………は?」

「ぇ?」



間抜けな声を出すゼロスに、私もつられて声を上げる。



「えーと、違うの? てっきり私はゼロスが仲間外れにされていじけてるんだと思ったんだけど」

「一体今の話の、どこをどう取ればそんな話になるんですかっ!?」

「んー? 『他の人は知ってるのかと思うと』……かな?」

「ぅぐ……」



私の言葉にゼロスは言葉を詰まらせる。

その様子を見るに図星、と言うより意図せずそうなってしまい悔しがっているように見えた。

隣でガックリ項垂れたゼロスは再度唸りながら、ぽつりと言葉を吐き出す。



「ユウさんて鋭いのか鈍いのか分からないですよね」

「前にゼルガディスさんにも似たような事言われたなぁ……」

「………………」



あの時は確か『お前は自分の事になると鈍いな』と言われた様な気がする。



「……ユウさんはゼルガディスさんと仲が良いですよね」

「ん?」

「先日も揃って朝帰りだったようですし」

「あぁ、まぁそんな事もあったけど」



まぁ、あれは閉じ込められたせいであって故意に朝帰ってきた訳では無いのだけど。



「でもまぁ、仲が良いと言うよりは気が合うって感じかな。同じ苦労人として」

「へぇ……」



少し複雑そうな顔つきで、曖昧な返事をするゼロス。

心なしか殺気立っている様に感じるが……。

と言うか居なかったのに何でそんな事を知っているのだろう?

けれど、それについて質問するより先に彼が椅子から立ち上がってしまったので、それ以上この話題を続けることは出来なかった。



「それじゃあ僕はこの辺で……」

「ん、もう良いの?」

「はい……これ以上夜更かしすると明日……と言うか今日が大変でしょうし」

「そうね」



態度がおかしい事には触れず、ゼロスを扉のところまで送る。

彼は扉を開けるとコチラを振り返り、短く挨拶を告げた。



「……おやすみなさい」

「ん、おやすみ」



言って私は、静かに扉を閉じる。

先程とは違い、気分は随分スッキリしていた。

最後の態度には疑問が残るが……。

鍵を閉め、ぐぐっと背伸びをしてからベッドに潜り込む。

結局ゼロスの言う『彼』が誰かわからなかったけど……。



「……ま、いいか」



色んなとめのない事を考えながら、私は眠る為に目を閉じる。

───そして。




















そして。

眠れぬまま朝が来てしまったこの事実。



「…………どうしてくれよう」



うーん、やはり夜中に紅茶を飲んだのがまずかったのだろうか。

しかし今更後悔しても後の祭りである。

私はベッドから降り、身仕度を整えるとノロノロと階下へと降りていった。

あの謎の神官に眠気覚ましのコーヒーでも奢らせようと考えながら……。






















あとがき

真夜中のお茶会。

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