───その後。
助けた少女の首元にあったエンブレムを見たアメリアさんが、フェミール王国の紋章である事に気が付いた。
それを証明するかのように、彼女の事を『ミワン様』と呼ぶ従者の姿もあり、少女がフェミール王国のお姫様だと知ったリナさんは、チャンスとばかりにお城へと乗り込んでいった。
そう。
助けた礼金を貰うために。
……抜け目がないと言うか、何と言うか……。
その逞しさには毎度感心させられる。
───そして。
私は一人、ただ一人。
城の庭に立つ木の下で微睡んでいる最中だったりする。
昨日のお茶会での寝不足が祟り、急激な睡魔に襲われたのだ。
……本当は宿をとって一眠りしたいところなのだけれど。
でも魔力を秘めた『ある物』と言うのも気になる。
そこでリナさん達が礼金を貰って帰ってくる間だけ仮眠を取ることにしたのだ───……が。
予想外の展開に私は眠ることも出来ないまま、微睡むだけに留まっている。
と言うのも、静かな場所を探し木の根元に腰かけたところでミワンさんが現れ、眠るどころではなくなってしまったのだ。
気付かれるかなとも思ったのだが植木があるのであちらからは見えないらしい。
「…………はぁ」
小鳥のさえずりが聞こえる中、彼女は私の居る木の側にあるベンチに腰掛け、深く重い溜め息を吐く。
それはまるで、この世の終わりとでも言うように……。
そんな彼女に声をかけようかどうしようか悩んでいる内に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あーあ、結局ご褒美の事言えなかったわ」
そちらを見ると、謁見を終わらせたリナさん達が、庭に面した廊下をぞろぞろと歩いているところだった。
「その上、なぁんか思った以上にとんでもない国みたいだし……は〜あ」
「まったくだ。さっさと異界黙示録見つけておさらばしようぜ……」
ミワンさんとはまったく質の違う溜め息を吐くリナさんに、ガウリイさんはガックリ肩を落としながら同意する。
「ガウリイさん、男に戻ってますよ」
「そうですよ、気を付けてくださいね」
そんな彼に忠告するアメリアさんとゼロス。
どうやらゼロスは女装が苦ではないらしく、扇子で口許を隠しながら楽しそうに笑っていた。
そんな彼の一挙一動に反応するマルチナさん。
「ま、可愛いゼロス様っ」
ふふふっとゼロスの隣で笑う彼女に対し、不機嫌なゼルガディスさんは何も言わず視線をそらす。
そして庭に居るミワンさんの姿に気が付くと、彼は足を止めた。
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