(6/9)

さて。

ミワンさんの情報を元に、街へ出て来たのは良いのだが……。



「あらユウさん。こんな所で頭を押さえてどうしたんですの?」



どうしたもこうしたも。

不思議そうな顔をしているゼロスに、私は呆れながら呟いた。



「男装の麗人にお茶に誘われたり、キラキラした眼差しを向けられたり……慣れない事だらけでちょっと……」

「これもお国柄ってやつでしょうねぇ」



お国柄……。

それだけで片付けてしまって言いのだろうか。

若干腑に落ちないと思いつつ、扇子で口許を隠し楽しそうに笑う彼に、私はふと気になった疑問を口にする。



「ところでゼロス。マルチナさんはどうしたの?」

「……さぁ?」

「さぁ……って、一緒だったんでしょ?」

「えぇ、途中までは」

「……置き去りにしてきたの?」

「おほほほほっ」



…………まぁ。

答えたくないならそれでも良いけど。



「それにしても、その服……」



女装姿が板についているというか……何と言うか。



「あ、ユウさんとお揃いにしてみたんですのよ。似合います?」

「…………おそろい?」



ゼロスの言葉に、私は眉を顰めた。

言われて自分の姿を見てみるが、類似点は見当たらない。

まぁ当たり前と言えば当たり前の話である。

私が着ているのは神官服で、ゼロスが着ているのはチャイナドレス。

色だって白と赤で違うし。



「どこがお揃いなの?」

「例えばスリットとか、スリットとかスリットとか」

「主にスリットな訳ね……」



はぁ……っと溜め息をつきながら彼を見る。

確かにゼロスの言う通り、私の服にもスリットが入っているが……。



「私は生足なんて大胆な事は出来ないよ」



チャイナ服のスリットから覗く生足が艶めかしいゼロスに対し、私はニーハイブーツを履いているのだ。



「いつかの聖なる歌と踊りの時のユウさんの生足は見物(みもの)でしたわ♪」

「………………」

「………………」

「黄昏れよりも暗き存在(もの)血の流れよりも」

「じょ、冗談ですっ! 冗談ですって! 落ち着いてくださいユウさんっ!!」



予備動作無しに竜破斬(ドラグ・スレイブ)の詠唱に入る私を見て、ゼロスはいつもの口調に戻るほど慌てていた。

まったく、人をこけにして。

………………。

でも。

やっぱり彼にはその方がしっくりくる。

私はクスッと笑みをこぼし、彼を正面から見た。

───そして。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+