さて。
ミワンさんの情報を元に、街へ出て来たのは良いのだが……。
「あらユウさん。こんな所で頭を押さえてどうしたんですの?」
どうしたもこうしたも。
不思議そうな顔をしているゼロスに、私は呆れながら呟いた。
「男装の麗人にお茶に誘われたり、キラキラした眼差しを向けられたり……慣れない事だらけでちょっと……」
「これもお国柄ってやつでしょうねぇ」
お国柄……。
それだけで片付けてしまって言いのだろうか。
若干腑に落ちないと思いつつ、扇子で口許を隠し楽しそうに笑う彼に、私はふと気になった疑問を口にする。
「ところでゼロス。マルチナさんはどうしたの?」
「……さぁ?」
「さぁ……って、一緒だったんでしょ?」
「えぇ、途中までは」
「……置き去りにしてきたの?」
「おほほほほっ」
…………まぁ。
答えたくないならそれでも良いけど。
「それにしても、その服……」
女装姿が板についているというか……何と言うか。
「あ、ユウさんとお揃いにしてみたんですのよ。似合います?」
「…………おそろい?」
ゼロスの言葉に、私は眉を顰めた。
言われて自分の姿を見てみるが、類似点は見当たらない。
まぁ当たり前と言えば当たり前の話である。
私が着ているのは神官服で、ゼロスが着ているのはチャイナドレス。
色だって白と赤で違うし。
「どこがお揃いなの?」
「例えばスリットとか、スリットとかスリットとか」
「主にスリットな訳ね……」
はぁ……っと溜め息をつきながら彼を見る。
確かにゼロスの言う通り、私の服にもスリットが入っているが……。
「私は生足なんて大胆な事は出来ないよ」
チャイナ服のスリットから覗く生足が艶めかしいゼロスに対し、私はニーハイブーツを履いているのだ。
「いつかの聖なる歌と踊りの時のユウさんの生足は見物でしたわ♪」
「………………」
「………………」
「黄昏れよりも暗き存在血の流れよりも」
「じょ、冗談ですっ! 冗談ですって! 落ち着いてくださいユウさんっ!!」
予備動作無しに竜破斬の詠唱に入る私を見て、ゼロスはいつもの口調に戻るほど慌てていた。
まったく、人をこけにして。
………………。
でも。
やっぱり彼にはその方がしっくりくる。
私はクスッと笑みをこぼし、彼を正面から見た。
───そして。
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