「えぇ、勿論ですよ。セイグラムさん」
「セイグラムッ!!」
邪魔をする気かと問う彼に、ゼロスは飄々と答えてみせた。
リナさんは涙を拭い、直ぐさまセイグラムに対応出来るようにと身構る。
「ガーヴの配下の者かい?」
「みたいですね。全く、だから魔族って嫌われるんですよ。人を散々振り回してくれるんですから」
アクアさんの質問に、私は溜め息を織り交ぜながら嫌味を言った。
側にいたゼロスはその言葉に苦笑しつつ、しかし次の瞬間にはいつものようにニコニコと笑いながらセイグラムに尋ねる。
「お久しぶりですね、今日はまた何の用ですか?」
「無論、貴様等の命を頂きに来た。少々目障りになってきたんでな」
……頂きにって。
「誰もあげるとも取りに来てとも言ってないじゃないですか」
「ふん……お前等の許可を取る謂れはない」
「ありますよ、私達の命……」
「おやおや、この間とっとと尻尾を巻いて逃げていったお方の台詞には思えませんけど?」
勝手な言い分を掲げるセイグラムに反論してると、ゼロスが私の前に来て視界も言葉も遮った。
常は閉じられている瞳を開け、怒気をはらみながら。
……………………うん。
取り敢えず大人しくしていようか。
「わしとて、お前の相手をしようとは思わない。貴様の相手は、あのお方がしてくれるっ!」
言ってセイグラムが指差した方に視線を向けると、そこは男の人が佇んでいた。
がっちりした体格をロングコートに包み、長剣を肩に担いで、こちらを見下した様な笑みを浮かべながら。
て言うか……『あのお方』を指差して良いんだろうか?
男の赤く長い髪が風になびくのを見ながらズレた事を考えていると、野太い声が発せられる。
「久しぶりだな? ゼロス」
「あなたは……」
その言葉に、目の前のゼロスは珍しく焦りの色をにじませた。
それに気を良くしたのか。
男は邪悪な笑みを浮かべ、高らかに自らの名を述べる。
「そうだ、オレだっ! 魔竜王ガーヴだっ!!」
…………。
どんな自己紹介の仕方……。
しかし、それがいくら間の抜けた名乗りでも、相手が強敵である事は事実。
それは変えようも無い。
「ま、魔竜王ガーヴッ!?」
「ふっふっふっふっふっ、はっはっはっはっ!!」
リナさんの驚きの声に、魔竜王の嘲笑が響いた───。
あとがき
窮地───逃れようの無い状態。
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