「いや……まぁ……それは」
「そうなんだがよ……」
返事に困った二人は、敵同士という事も忘れ、言って仲良く顔を見合わせる。
それには構わず、私は言う。
「なら弱い者イジメだなんて止めて、今日の所はお引き取り下さい」
「そういう訳にもいかねぇな。こいつにはまだ聞かなきゃならねぇ事がある」
お帰りはあちらです、と告げた私に、魔竜王は野性的な笑みを浮かべながら顎でゼロスを指し示した。
……やはりそうなるか。
まぁ、まさか今ので帰ってくれるとは思ってはいなかったが……。
そうこうしてる内にも魔竜王は再び剣を肩にかつぎ、今にも襲ってきそうな雰囲気をかもし出している。
「……さて、この場をどうしましょうか?」
ゼロスは私達を守る様に杖を構え、チラリとこちらを見た。
が、それに答えたのは魔竜王。
「決まってるぜ。ここでオレに切り殺されるんだ」
「っ!」
魔竜王の気に押され、ゼロスがたじろぐ。
流石のゼロスも、いつもの余裕をまとっていられる状況ではないようだ。
「そうしちまえば、フィブリゾの野郎が何を企んでいようと関係なくなるからなぁ」
「その通り!」
「……セイグラムっ」
「……まだいたんですね」
魔竜王に圧倒されてて、すっかり存在を忘れていたが……。
しかし、いくらゼロスと言えど、二人を相手に。
尚かつ私達を守りながらの応戦はかなりキツイはず。
私は最低限、彼に迷惑をかけない方法を考え───。
そこにリナさんの凛とした声が響いた。
「そう上手くいくかしら!?」
「オレは今まで貴様達が倒してきた魔族とはケタが違うぜっ!?」
嘲りにも似た笑みを浮かべる魔竜王に、リナさんは術を解き放つ。
「烈閃槍っ!!」
「くだらねぇっ! くだらねぇんだよ!!」
それを余裕で叩き伏せる魔竜王。
剣で弾かれたソレは地面へと激突し、辺りに爆風を撒き散らす。
砂が巻き上がり、視界が遮られた。
その隙に次の術を唱えたリナさんは、アクアさんを抱え……。
「ユウっ、逃げるわよっ!!」
「えっ!? ちょ……」
さっさと、翔封界で飛び立つリナさん。
その後を追ったのは、私───……ではなく。
「逃がさんっ!」
セイグラムだった。
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