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「ちょっとガウリイ! アンタおかしくなったんじゃないのっ!?」

「野生の勘だな」



本気で心配するリナさんに、感心するゼルガディスさん。

そんな皆の反応が不服だったのか、ガウリイさんは私達を見やり言う。



「そんな事言うけど、リナ達だって気付いてたんだろ?」

「だって、ゼロスはあたしやユウにはそういう素振りを見せてたし……ねぇ?」



問われて私はコクンと頷いた。

まぁ、本当はココで出会った時から───……前の時間軸の時から知っていたのだが。

そう、あれは教会の一室で本を読んでいた時の事。

最初は声を潜めて話していたリナさん達だったが、話し声は次第に大きくなり……。

聞こえてしまったのだ。



『ゼロスが魔族』であると。



───その時。

私は特に何を思うでもなく、ただ『そうなんだ』と。

すんなりと、当たり前のようにその言葉が私の中に入ってきて。

私は何事も無かったかのように、再び本に視線を落とした。

それからこの時間に来て。

リナさん達が、ゼロスが魔族だと知らないと分かり……───けれど。

わざわざ彼女達に言う必要もなかったので黙っていた、という訳である。



「それで、結局コイツは何を企んでるんだ?」



不機嫌オーラを漂わせ、ゼルガディスさんはゼロスを(あご)で指し示す。

それをいつもの笑顔で飄々といなす彼。

そんなゼロスを見て、リナさんは慎重に言葉を紡錘だ。



「あたしが聞いた範囲じゃ、どういう訳か魔族を裏切った魔竜王ガーヴを(おび)き出す事。そしてその勢力の拡大を阻む事……」

「そうすると、アトラス・シティやセイルーンでの一件は全てガーヴの勢力拡大の為の陰謀だった訳か……」

「ピンポーン! 正解です♪」



指をピッと立て、愉しそうに答えるゼロス。

それとは対称的に、リナさんは呆れた視線を彼に飛ばした。



「それ以外にも、冥王(ヘルマスター)には何か計画があるらしいけどねぇ」

「言っときますけど、それは秘密ですからね♪」

「貴様ぁっ!!」

「やめて!」



人を食った態度のゼロスに、ゼルガディスさんがいきり立ち、それをリナさんの手が阻む。



「何故止めるっ!?」

「ゼロスは強いわ。多分ここにいる誰よりもね」

「何っ!?」

「かなりの力を持つ魔族でなきゃ、あの魔竜王ガーヴにちょっかいなんて出せるもんじゃないもの」



確かに、ゼロスはかなりの力を有している。

それは魔竜王も認めていた事実。

魔王の腹心に次いで強いという事を。

しかし、そんな話は正義の娘、アメリアさんには関係なかった。



「でも、ガーヴと戦ってた時にはズタボロのボコボコ。この程度の力で喧嘩売るなんて一体なに考えてるんだか! 自分を知らない人ってこれだから……なぁんて思う位ベコベコのボロボロにやられてたじゃありませんかっ!!」

「アメリアさん……」



傷をえぐるようなそのもの言いに、私は静かに呼び掛ける。

すると彼女はハッとし、



「すみません……言い過ぎましたね」

「もっと言ってやって下さい」

「……え?」



にっこり笑ってそう言えば、アメリアさんはきょとんとした顔で固まった。

それに慌てたのはゼロスである。



「ユウさんっ!?」

「何です?」

「何って……」

「ズタボロのボコボコ。本当の事じゃないですか」

「ぅぐ……」

「自分の力量考えずに動くから、そういう目に合うんですよ」

「………………」

「少しは周りに……」

「そうですよっ! ベッコベコのボッコボコにやられるくらいの力しか無いなら、最初から周りに迷惑がかからないように動いて下さい!」

「……どうせ……どうせ僕なんか……」



ずーん……。

そう形容するのが適切なくらい、容赦無いアメリアさんの言葉に落ち込むゼロスは、壁に手を付きながら負のオーラを撒き散らした。

そんな傷心のゼロスに、フォローを入れたのはリナさん。



「まぁまぁ、ユウもアメリアもそのくらいにしておきなさいよ」

「え、私もですか?」

「むしろアンタがとどめを刺したでしょうが」

「そんなつもりは無かったんですが……」

「とにかく。それだけガーヴが物凄いって事なのよ……多分ね」



わかっている。

それはわかっている。

嫌というくらい。

嫌という程。

だからこそ……───。

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