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うつ向く私のその隣で、アメリアさんがリナさんに尋ねる。



「じゃあ、これからもこのまま旅を続けるんですか?」

「まぁ、それはゼロス達が何を企んでるかにもよるけど……どうせ話す気なんてないんでしょ?」



隅でイジケているゼロスに聞けば、彼は「もちろんです」と小さく頷いた。

そんな彼に詰め寄り、若干怒りを滲ませながらアメリアさんは言う。



「シラを切るなんて卑怯ですよ、ゼロスさん! あくまで白状しないと言うのであれば、わたしに考えがありますっ!」

「っ……どんなです?」



勢いに押され、ゼロスは後ずさった。

普段の彼なら飄々といなしているような場面だが、余程先程のアメリアさんの言葉が効いたのだろう。

身を引く彼に、彼女は自信満々その考えを口にする。



「今晩から毎晩、ずぅーっとあなたの枕もとで、『人生って素晴らしい、人生って素晴らしい』って、囁き続けてあげますっ!」

「そういうのはちょっと……」



流石にこういう攻撃は嫌だったのか、ゼロスはまともに顔色を変えた。

確かにコレなら色んな意味で効果がありそうである。



「生きとし生ける者達のマイナスの感情を糧にしているあなた達魔族には、生の讃歌は(こた)えるはずですっ!」

「や、そういうのは魔族じゃ無くても堪えると思うんだけど……」



リナさんのもっともな呟きは、けれどアメリアさんには届かない。

それを見たゼロスは情けない顔で私に助けを求めてきた。



「ユウさん、見てないでアメリアさんを止めてくださいよぉ……」

「どうして?」

「どうしてって……」

「良かったじゃないですか。独り寝が寂しい夜のお供に最適ですよ」

「どこがっ!?」



即座にツッコまれ、私は首を傾げる。



「どこって……可愛い女の子が一晩中側に居てくれるっていうんですよ? 寂しくないでしょう」

「そういう問題じゃないでしょうっ!?」

「あぁ……ゼロスは男の人と一緒に居る方が良いんですね」



言ってガウリイさんとゼルガディスさんを見ると、彼らは嫌な顔をして身を引いた。

それに対しゼロスは力いっぱい、否定の言葉を口にする。



「ちーがーいーまーすーっ!!」

「じゃあ……何が嫌なんですか」



段々面倒になってきて、投げやりに質問すると、「全部ですよっ! 全部っ!!」と、言い切られた。

全部と言われても……。



「そんな我が儘言わないで、一つくらい妥協してください」

「妥協できるような事柄は一つだって無かったでしょうっ!」

「そう? 女の子と仲良くするとか、男同士の友情を育むとか……素敵な事じゃないですか」

「無表情で言われても、全然説得力が無いですっ!!」

「眠いんですよ、私。考えるのも面倒なくらい」

「酷っ!?」



本音を漏らせばゼロスは傷付いたように顔を顰めた。

しかし、私に構っていられる余裕は無い。

先程神殿でゼロスに言ったように、昼間からずっと動き通しなのだ。

体力的にも、精神的にも限界だった。

私はゼロスからの視線を気にせず席を立つと、リナさん達にさらりと告げる。



「そんな訳で、私先に失礼しますね」

「あ、うん。おやすみ」

「ちょっ!? ユウさんっ!?」

「おやすみなさい」



彼女達に挨拶を済ませ、その場を後にする。

───すると。

何故か後ろからついて来る一人分の気配と足音。

それは階段を上って部屋に入ってもついて来て……。



「何……?」



私はマントを外しながら、ゼロスに尋ねた。

しかし彼は答えない。

じーっ……と恨めしそうにコチラを見ているだけ。

私は何を考えているのか分からない謎の神官を見て、溜め息を吐いた。

このままこうしていても仕方ない。

何より眠たい。



「ここに居るならそれでも構わないけど、出てくなら鍵してってね」



言って私はマントを椅子に掛け、上着とブーツを脱いでベッドに潜り込んだ。

その様子をゼロスはやはりジトッとした眼差しで見やり───やがて。

一体何を思ったのか、先程とは打って変わった笑顔を浮かべて言う。



「僕もご一緒させて頂きます」

「…………は?」

「ユウさんの隣で、『愛してます』って囁き続けてあげます♪」

「いらんわっ!!」



思わず絶叫する私。

そんな私にお構いなしに、ゼロスはさっさとベッドへ身を潜り込ませてきたのだった。

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