「お待たせしました、リナさん」
「ユウ……準備は良い?」
「はい」
問われた私はコクンと頷き、そして。
私達は一緒に異界黙示録へと手を伸ばした。
その途端、光が溢れ出し、私は反射的に目を閉じる。
目を閉じていても分かる程の光は徐々に収束し───……やがて。
「人間よ、何を知りたいのだ?」
そう響いた声に目を開けた時には、白く霞みがかった見知らぬ場所に佇んでいた。
「何が知りたいのだ?」
声は再度問う。
おそらくはこの声こそが水竜王の思念───異界黙示録。
リナさんは上を見上げると、肩を竦め異界黙示録に尋ねた。
「まずは、何故ガーヴが魔族を裏切ったのか。その辺りの理由、さっぱり分かんないもんでね」
「…………よかろう」
声が答えると、急に周りは暗くなり、次いで二匹の竜が上空に映し出される。
それに合わせて異界黙示録は言った。
「───千年前、降魔戦争の時。魔王とガーヴによって倒された水竜王は最後の力で魔王を封印し、ガーヴを人間の身に封じ込める事に成功した。人間として転生を繰り返させ、魔族の力を徐々に失わせる為。しかし転生を繰り返す内に、ガーヴの魂は人間と同化し、ガーヴは魔族から離反した」
なるほど。
だが、魔族から離反したとは言え、魔族は魔族。
その本質までは、千年という時間ではどうにもならなかった───。
と言う訳か。
その話を聞いたリナさんは納得顔で頷くと、次の質問へと移る。
「この地に住まう人の身で、魔族を倒す方法は?」
「魔族の力を越えるには、それより強い力を持ってするのみ」
「なるほど、それは当然ね。じゃ、質問を変えるわ」
そして彼女は尋ねた。
不敵に笑って、
真っ直ぐ前を見据えて。
自分が生きる為に。
魔族に勝つ為に。
「魔王の中の魔王、『金色の魔王』について、知りうる限りを教えて」
「───よかろう。アレは理解するにはあまりに巨大過ぎる存在。しかし、伝えられる事だけは伝えよう」
異界黙示録はそう前置きしてから、彼女。
『金色の魔王』の事を語りはじめた。
あとがき
───聖書。
神の言葉。
この世の真理、黙示録。
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