ワガママ(1/5)

声は語る。

淡々と、事実のみを。

『彼女』のことを。





──すべての闇の母──



──魔族達の真の王──



──在りし日の姿に

  帰るのを望み続けるもの



──闇よりも暗き存在──



──夜よりも深きもの──



──混沌の海に

    たゆたいし金色──



──(まった)き虚ろ──



──全ての混沌を

   生み出せし存在──



──悪夢を統べる存在──



───すなわち───













───……金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)……───





それを聞いたリナさんは再度、異界黙示録(クレアバイブル)に尋ねた。

きっと、何かが引っ掛かったのだろう。



「今の所、もう一度!」



異界黙示録(クレアバイブル)の声は先程と同じ言葉を繰り返し、リナさんはそれを一字一句、聞き漏らさないよう集中している。



『全ての混沌を生み出せし存在。悪夢を統べる存在───……すなわち』

「ロード……オブ、ナイト……メア。全ての混沌を……生み出せし存在っ!?」



愕然とするリナさん。

全ての混沌。

その意味を理解した時、初めて『彼女』という存在を認識することに繋がる。

リナさんは、その事に気が付いたのだろう。

『彼女』の在り方を。

『彼女』の途方も無い力を。

そしてあまりにも計り知れないその存在に、息を呑んだ。



───そんな中。

驚くリナさんの隣で、私は『レシピ』について質問していたりする。

私がここに居る意味を全うするために。

『彼女』のお使いを果たすために。

横で「わたしもーっ!」と駆け寄ってきたマルチナさんが勢い余って転んでいたりするが、それは見なかった事にして……。

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