声は語る。
淡々と、事実のみを。
『彼女』のことを。
──すべての闇の母──
──魔族達の真の王──
──在りし日の姿に
帰るのを望み続けるもの
──闇よりも暗き存在──
──夜よりも深きもの──
──混沌の海に
たゆたいし金色──
──全き虚ろ──
──全ての混沌を
生み出せし存在──
──悪夢を統べる存在──
───すなわち───
───……金色の魔王……───
それを聞いたリナさんは再度、異界黙示録に尋ねた。
きっと、何かが引っ掛かったのだろう。
「今の所、もう一度!」
異界黙示録の声は先程と同じ言葉を繰り返し、リナさんはそれを一字一句、聞き漏らさないよう集中している。
『全ての混沌を生み出せし存在。悪夢を統べる存在───……すなわち』
「ロード……オブ、ナイト……メア。全ての混沌を……生み出せし存在っ!?」
愕然とするリナさん。
全ての混沌。
その意味を理解した時、初めて『彼女』という存在を認識することに繋がる。
リナさんは、その事に気が付いたのだろう。
『彼女』の在り方を。
『彼女』の途方も無い力を。
そしてあまりにも計り知れないその存在に、息を呑んだ。
───そんな中。
驚くリナさんの隣で、私は『レシピ』について質問していたりする。
私がここに居る意味を全うするために。
『彼女』のお使いを果たすために。
横で「わたしもーっ!」と駆け寄ってきたマルチナさんが勢い余って転んでいたりするが、それは見なかった事にして……。
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