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「リナさん?」

「ん?」



ガウリイさんを助けるべく、再びサイラーグへと歩みを進めた私達。

若干一名、純な乙女心を傷付けられたから、という理由の人もいるが……それは例外として。

そんなさなか。

私の前を歩いていたシルフィールさんは、リナさんに話し掛けた。



「今回、ガウリイ様と無事に会えたら、わたくし、しばらく一緒に旅をしてみようかと思ってるんです」

「へぇ、良いんじゃない?」

「良いんですか?」

「もう6人もいるんだもん。別に7人になったって変わんないと思うけど」



その返答に、思うところがあったのか。

彼女、シルフィールさんは続ける。



「もし冥王(ヘルマスター)を出し抜いて、ガウリイ様を無事助け出せたらリナさんは……」

「え? もっちろん! まずお礼に光の剣をぶん取る!!」

「あ、そうじゃなくって……」



リナさんらしい答えだが、彼女が聞きたいのはそういう事ではないのだろう。

シルフィールさんはリナさんに駆け寄ると、声のトーンを落とし慎重に問い掛けた。



「リナさんは、前に聞いた時、ガウリイ様と旅してるのは光の剣が目当てだって言ってましたよね?」

「言ったわよ」



言ったのか。



「今でも、それだけがガウリイ様と一緒に旅をする理由ですか?」

「あ?」

「だとしたら、わたくしは……」



数瞬の沈黙。

その時、



「散れっ!!」



どごおぉぉんっ!

ゼルガディスさんの声に続き、辺りは轟音と爆風に巻き込まれた。

突然の事に受け身が取れず、地面に打ち付けられた身体がジンジンと痛む。

だが、木々が薙ぎ倒され、地面がえぐれた状況で、この程度で済んだのは不幸中の幸いである。



「もう、何よ一体!?」

「あ!」

「何だ!?」



アメリアさんの声に、ゼルガディスさんが反応する。

すぐ隣では「何でこんな目にあうの!?」と文句を言った途端、木の下敷きになってるマルチナさん。

だが、今は彼女に構ってる場合ではなかった。



「君はともかく、他の人には消えて貰っても良かったのにな」

「フィブリゾっ!?」

「リナさん! あれっ!」



冥王の声に緊張が走った、その瞬間。

アメリアさんが、ある方向を指差し声をあげた。

そこには、フルフェイスの仮面をつけ、抜き身の剣を手にした男が一人佇んでいた。

───そして。



「あれはガウリイの……」

「光の剣!」



そう、その男が手にしていたのは紛れも無く光の剣。

冥王に捕われた、ガウリイさんの持ち物。



「人間見下してる割には、ガウリイの光の剣ぶん取って自分の部下に貸すなんて、セコい事してくれるじゃないっ!?」



声はすれども姿は見せない冥王に、リナさんは怒りをぶつける様に声を荒げる。

だが、冥王からの返事はない。



「ガウリイは無事なんでしょうね!?」

「彼は無事だよ。今のところはね」

「くっ……」

「でものんびり待ってるのも退屈だからね。君達も旅するだけっていうのも、つまらないだろ。腕の立つのを連れてきたよ。ま、余興だと思って、楽しんでほしいな」



そう言ってる彼自身、楽しんでいるのだろう。

口調からそのことが窺える。

まったく、どこまでも迷惑な話である。



「……ガウリイ奪回の第一関門って訳ね。ってことなら、勝たせてもらうわ」



目の前に掲げた手に、ギュッと力を込めるリナさん。

それをどこからか見ている冥王は、自らの部下に命令を下した。



「行けっ! 手加減は不要! 運悪く死ぬなら、所詮それまでの奴って事さ」

「行くわよ!」

「はい!」

「おう!」



リナさんの号令にアメリアさんとゼルガディスさんは同時に応え、そして。

戦いの火蓋が切られた。

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