「餓竜咬!」
先制攻撃はリナさんのものだった。
自分の影の中に竜を召喚し操るその術は、しかし光の剣によって四散する。
そして続けざまに、アメリアさんとゼルガディスさん、そして私が次の攻撃を解き放つ。
「崩霊裂!」
「冥壊屍!」
「烈閃牙条!」
だがそれすらも簡単に打ち破り、男は剣を振り下ろす。
その瞬間。
光は私達の目の前を過ぎ行き───後には何も残ってはいなかった。
そう、何も。
ただ、焼け焦げた道があるのみ。
「ひぇぇ……」
「何か、光の剣のパワー、いつもの何倍もありますよ……」
確かに。
普段ガウリイさんが使っていた時は、それでも文句なしに強いが、こんなでたらめな力は無かった。
これは……ちょっと本気でマズイかも。
「リナさん! 危ないっ!!」
シルフィールさんの声にハッとし、私は慌ててリナさんを見た。
今はいらぬ所に思考を巡らせている場合ではない。
リナさんは間一髪、剣士と交差するようにジャンプをして攻撃を避ける。
───が、その瞬間。
リナさんが顔を顰めた。
避けたつもりだったその一撃が、どこかをかすったのか。
「リナさんっ!」
慌てたアメリアさんの声。
それを阻むように。
近付くのを拒むように。
再び光の剣が唸る。
しかし、その攻撃は隙を作った。
それを見逃すリナさんではない。
彼女はいつの間にか宙へと移動し、唱えていた術を解き放つ。
「烈閃槍!」
けれど、術を定めるその瞬間。
今度はリナさんに隙が出来る。
剣士はリナさんが術を唱え終える前に、空へと地を蹴った。
烈閃槍は直線的な攻撃呪文であるため、見切るのはたやすい。
たやすい……が、隙を突かれてのこの反応。
半端な反射神経の持ち主ではない。
解き放たれた術は剣士の横をすり抜け、地上に当たって爆発を引き起こした。
その爆風に乗って剣士はリナさんへと斬りかかる。
が、しかし。
リナさんは瞬時に身を翻してその一撃をやり過ごし、剣士は地上へと舞い降りた。
そこを狙って、今度はシルフィールさんが術を紡ぎだす。
「火の矢!」
タイミングは完璧。
───けれど。
炎の矢……と呼ぶにはいささか抵抗のある、にんじんサイズのそれは、ふわふわと頼りなげに宙を行き。
やがて、剣士の背にぽすんと当たると跡形も無く消え失せた。
「ぇえっ!?」
いや、「ぇえっ!?」て。
むしろこっちが驚きたいくらいで……。
「相変わらずだな」
振り向き、シルフィールさんに狙いを定めた剣士との間に割り込み、ゼルガディスさんが構える。
更にその彼の前に、浮遊の術を解いたリナさんが降り立った。
「あんたの相手はあたしよ!」
駆けてくる剣士に向かって術を解き放つリナさん。
「黒妖陣!」
その攻撃を剣で防ぎきると、男は一旦距離を置くため後ろへと飛び退る。
そこを目掛けて、私達は仕掛けた。
『振動弾!』
───けれど。
3人そろっての攻撃も弾き返され効果はみえない。
そこに今度はゼルガディスさんが大技を叩き込んだ。
「覇王雷撃陣!!」
剣士を中心に五芒星が描かれ、雷撃が男を襲う。
が、男は光の剣で雷撃を受け止めると、こちらに向かって一気に振り下ろした。
どごおぉぉんっ!
本日二度目の爆発に吹き飛ばされ、私達は地に叩きつけられる。
「……出来るなあいつ。光の剣の力を完全に引き出してる」
「無茶苦茶腕も立つわ」
「魔術を弾き返され、こっちは光の剣を避けるしかないんじゃあ……」
「結果は見えてるな」
ゆっくりとこちらとの間合いを詰めてくる剣士を前に、私達は成す統べもない。
そこに、冥王の声が響き渡った。
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