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神殿へと招かれた私達は、テーブルを囲み、神官長さんの言葉を待った。

彼は一つ息を吐き出すと、疲れた様に話始める。



「実は……わたしも含め、この町の人々は全て生きてはいないのです」

「でしょうね」

「この町はフィブリゾ様の魔力によって復活した町。仮そめの命を与えられた者達の町なのです」

「仮そめの命って……じゃあ!!」

「わたしを始め、ここに住まう者全てが本来ならば冥界で眠りについているべき者達なのです」

「まさかっ!?」



シルフィールさんは驚きと共に手を伸ばし……。

神官長さんはそんな彼女の腕を掴むと、自らの胸へと押し当てた。

その場所は、本来なら命の鼓動を刻む場所。

しかし───。



「……心臓が、動いて……いない」

「そ、そんなっ!!」

「一体、フィブリゾは何の目的でそんな事をする!」



ゼルガディスさんが言及するも、神官長さんはゆっくりと首を横に振り、答えた。



「我々はその質問に答える様に創られてはいません。フィブリゾ様のお許しになった情報しか、あなた方にお伝えすることは出来ないのです」



許された情報。

すなわち、フィブリゾにとって都合の良い情報と言う訳か……。



「人が魔法の補助なくては水中で息が出来ないのと同じ様に、我々はその質問に答えられない様、フィブリゾ様に創られているのです。我ながら情けない話だと思いますが……」

「くそっ! 卑劣な奴めっ!」



なるほど。

神官長さんの最初の溜め息はこの所為だったのか。



「我々にとってはフィブリゾ様は創造主も同じ事。逆らうことはできません」



生きていた時の記憶と、創造主には絶対服従の命。

その狭間で悩み苦しんで、疲れ果てた者の溜め息。

そんな彼にこれ以上、酷な質問をするのは躊躇われる。

それはリナさんも同じだったのだろう。



「じゃあ、別の質問をするわ」



そう言って彼女は神官長さんを見た。

真っ直ぐに。

そして質問を投げ掛ける。



「今、フィブリゾはどこにいるの?」



それに対し彼は、はっきりと答えた。



「この町の中心にある、フィブリゾ様の神殿に」



───と。

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