(2/5)

「おや、残念。あのまま油断していてくれれば、後ろから貫いて終わりでしたのに」

「そんな簡単に終わったらつまらないじゃない?」



言いつつ今度は冥壊屍(ゴズ・ヴ・ロー)を放つ。

召喚魔法の一種で、相手の精神と肉体を滅ぼすその『影』は、地面を伝い一直線にゼロスへと突き進む。

が、接触する瞬間に杖を一閃され、『影』は跡形もなく消滅してしまった。



「まぁ、それもそうですね。どうせなら恐怖と絶望を与えて食事を楽しみましょうか」

「……できれば辞退したいんだけど」

「そう遠慮なさらずに」



言葉と同時に放たれる魔力の光。

先程と同じ物のようだが、今度はその数が二つに増えていた。



「……っ」



避ければまた後ろから狙われる。

私は杖をかざし、その先端でスッと空中に弧を描いた。

───しかし。

ゼロスが放ったそれは、円に触れる手前で軌道を逸れると大きく回り込み始める。

私は急ぎ呪文を唱え、風の結界を自らの周りに張り巡らせた。

───その途端。

耳元をかすめ、ビュンッと過ぎ去る『何か』。



結界が破られた!?



思うのと同時に術を解除し、私は振り向きざまに杖を振う。



バシュッ!



二つの魔力球は、まるで杖に吸い込まれる様に当たり、何とか事なきを得た。

その事に安堵するものの、かすかな懸念が湧きあがる。

それはとても小さな変化ではあったのだが、見過ごすには相対している相手が悪すぎる。

杖を持つ手に自然と力が入り、背中に嫌な汗が流れた。



「ふむ。結界で進路がズレちゃったみたいですねぇ」



それを振り払うべく、小首を傾げるゼロスを無視して、青魔烈弾波(ブラム・ブレイザー)を放つ。

目標に向かって直進する衝撃波は、青い光となってゼロスに向かうものの、その直線的な攻撃はあっさりと避けられ、後ろに飛んでいってしまった。



「…………」



どうするか……。

目まぐるしく思考を巡らせ、打開策を考える。

一撃必殺とまではいかないまでも、崩霊裂(ラ・ティルト)辺りが当たればそれなりのダメージを与えられるとは思うのだが……。

私の体術と動体視力で何とかなるなら、今までの攻撃も無駄にはなっていなかっただろう。

冥王の言った通り、このまま小技を使ってどうにか出来る相手でも無いし。



さぁて、どうしたもんだか。



杖を握る手に力を込め、ゼロスを見据え───。

その様子を見ていたゼロスはクスッと笑みを深くした。



「……良いですねぇ、その表情」







───ゾクゾクしちゃいます。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+