ゴウホウ(1/6)

広がる青と緑。

空はどこまでも続き、また、大地も果てしなく続いている。

そんな小高い丘の上。

一陣の風が吹き抜け、私はなびく髪を押さえながら呟いた。



「信用はしてないけど……」



───信頼はしてるから。



草木のざわめきに私の言葉は飲み込まれ、彼は不思議そうに声を上げた。



「今、何て……?」



けれど私はそれには答えず、彼に背を向けたまま言葉を紡ぐ。



魔族である彼に願いを伝える為に。

彼が魔族だからこそ、起こりえる未来の為に。



「ねぇ、ゼロス。一つだけ約束して」

「……何ですか?」



風がおさまり、再び静寂が訪れた丘で、私の声はゼロスへと届けられる。



「もし、仮に」



それは起こりえる未来。

神託めいた確信。



「もし、私を殺す時が来たら、その時は……」

「……ユウさん?」



ゼロスの訝しげな声が響く。

私は構わず続けた。



「その時は、後ろからではなく前から来てね」



あなたの姿を確認して。

あなたを見届けてから。



「向かい合って、他愛ないお喋りをして、そして殺して」



あなたは魔族だから。

それが自分の意思でなくても、あなたは私を殺すでしょう。

きっと、いつもの笑みを貼り付けて。



だから。

───だから。

最期はゼロスの姿を見せて。

多分私は勝てないだろうから。

せめて、あなたの姿を。

私に見せて。














「………わかりました」





一瞬の間を置いてからの彼の返事を聞き、私は自嘲の笑みを浮かべ、うつ向いた。

そして意地悪く笑い、クルリと振り向きゼロスを見る。



「約束、したからね?」

「でも、守らないかもしれませんよ?」

「そうかもしれない。でも……」



私は信じてる───。



「それに、その時はめい一杯抵抗するつもりだし……ね?」



ただじゃ死んであげません。



そう悪戯に笑えば、「それは骨が折れそうですねぇ」とゼロスも笑った。

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