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まばゆい光が辺りを覆ったのは数瞬。

光が消えた後。

ゼロスは周りを見回すと訝しげな声を上げた。



「……ここ、は……」



見れば先程居た場所からほぼ真上。

円柱にくり抜かれ、外壁に沿って螺旋階段がある、あの場所へと移動していた。

どうやら空間移動の術は無事成功したようだ。

とは言っても、簡単な魔法陣と今の体力では大した距離を移動することは出来なかったけれど……。



「ユウさん……これは……」



ゼロスに抱き抱えられたまま説明を求められ、私はつい今し方の事に想いを馳せる。



───あの時。

ナイフが手に当たった時。

辺りを見ると丁度六芒星の頂点───五ヶ所に、ナイフと折れた杖が位置していた。

偶然と片付けるには出来過ぎていたそれ。

けれど迷ってる暇は無く。

私は側にあったナイフで六芒星を完成させ、簡易魔法陣による空間移動をしたのだ。



───……だが。

今はそれを説明している余裕はない。

冥王がいつ追いかけて来てもおかしくない状況下。

その前に少しでも態勢を整えなくては……。



「……ユウ……さん?」



とりあえず後で説明する旨を伝えようと私は口を開き───



「……ごほっ」



ごほごほごほ……っ。



「ユウさんっ!?」



言葉の代わりに出て来た赤い血に、ゼロスが取り乱す。



「ユウさんっ!? ユウさん、しっかりして下さいっ!!」



───……大丈夫。



そう安心させるように微笑んでみせたのに、ゼロスは泣きそうな顔で私を見ている。



「ユウさん……っ、ユウさんっ」



繰り返し。

繰り返し。

名を呼ばれ。

私はただその声を聞くことしか出来ない。



「ユウさん……っ」



とりあえず今は治療に専念しよう。

回復すれば返事をすることも、ツッコむことも、安心させてあげることも出来るから。



幸いなことに、今、私は痛みを感じない。

それは術に集中できるという事。

私は口の中で呪文を唱え───。



「ユウさんっ、嫌ですっ……ユウさんっ……死な、ないでくだ…っ」



唱…………。



「ユウさ───」








……………………。














「…………い」



何度目とも知れぬゼロスの呼びかけ。

それに対し、私は思わず呟いていた。



そして。

聞き返す彼の目を真っ直ぐ見据え、今度はハッキリと告げる。



「うる……さい」



───と。

ただ一言を。

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