その言葉に絶句するゼロス。
そんな彼の頬に、ありったけの力を込めて手を添え───。
「ユウさ───っ!?」
戸惑うゼロスを無視し、そのまま彼の顔に自分の顔を近づけると、私は迷うことなく彼の口を塞いだ。
彼の顔が血で汚れてしまったが、そんなこともお構い無しに。
驚きに目を見開くゼロス。
甘さなんかなく、血の味の口づけ。
ようやく黙ったその唇から自らのそれを離すと、私は言った。
「術……に、集中……出来ない、から……黙っ……てて」
「…………は、い……」
顔を血まみれにして放心してるゼロスに「いい子、ね」と冗談めかして微笑み、私は再び呪文を唱え始める。
空間移動する前にも唱えていた術。
───復活を。
聖なる癒しのその御手よ
母なる大地の その息吹
「………………」
普通なら周りから気を取り込み、徐々に回復するこの術。
けれど今、悠長な事はしてられない。
ゼロスが物言いたげにしているのを苦笑しながら見つつ、私は呪文にアレンジを加えた術を唱え続けた。
───それから程なくして。
通常よりも数段早く回復した傷は既に塞がり、私は立ち上がれるまでになっていた。
「……さて、と。心配かけちゃったね……」
依然心配そうな顔をして隣に立っているゼロスに笑いかけると、彼は無言のままうつ向いてしまう。
「……ゼロス?」
不思議に思いながら彼の名を呼ぶと、ゼロスはゆっくり。
ゆっくりと顔を上げた。
「………………」
「………………」
真っ正面からぶつかる瞳と瞳。
「ユウさんは……」
ゼロスは真面目な表情を崩すことなく私に言う。
「ユウさんは
───何者なんですか?」
いつかと同じ、その疑問を───。
あとがき
号砲。
それは潮時の合図。
ALICE+