「じゃあ……行くね」
「本当に一人で行かれるんですか?」
「うん」
「どうしても……ですか?」
「うん」
「やっぱり僕も……」
リナさん達の所へは一人で行く。
そう宣言すると、ゼロスは真剣な面持ちでそう切り出した。
そんな彼の唇に人差し指を乗せ、私はその後の言葉を遮る。
「ダーメ。ゼロス、本調子じゃないでしょう?」
「それはユウさんだって……」
「それに、冥王には背けても、魔族の理には背けないでしょ?」
魔族の理。
世界の全てを道連れに、滅びを求めること。
「……それは……でも」
「大丈夫、無茶はしないから」
「………………本当ですか?」
「本当本当」
「…………絶対ですよ?」
「大丈夫大丈夫」
そう返答すればゼロスは困ったように笑い、そして諦めたように再び大きな溜め息をついた。
「僕、ユウさんに言いたい事があったんですけど」
「文句なら聞かないよ?」
「そうじゃなくっ!」
珍しく語気を強めるゼロスに、私は微笑し先を促す。
「言いたい事って?」
「言いません」
………………………。
「もしかして喧嘩売ってるの?」
「むしろユウさんが販売促進してる様に思いますが」
「否定はしない」
「……………………」
「続けて」
「はい」
再度促した私に、ゼロスは苦笑しながら一つ頷き、
「言わないって言ったのは、あくまでも今は言わないって事です」
「………………今は?」
「えぇ……この件が片付いたら言いますので、聞いていただけますか?」
見上げれば、いつの間にか清んだ紫がそこにはあって。
この瞳には弱いな、なんて。
そんな風に思いながら、私はコクンと首を縦に振った。
「…………うん。分かった……片付いたら聞かせてね」
「はい」
片付いたら。
生きていられたら。
絶対、生きて帰ってくるから。
そんな想いを織り交ぜた約束を胸に。
私はリナさん達の元へと向かった。
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