「……フィブリゾ」
リナさんが冥王を真っ正面から睨みつける。
対して、冥王はそんな視線も気にせず、こちらを見下ろして言う。
「どう? 重破斬を打つ気になってきた? まだ打つ気にならないんなら、今度ぼくがどうするか、わかるよね?」
倒れているアメリアさん達に手をかざし、冥王は嬉々として彼女達をクリスタルに閉じ込める。
そして、それらを自らの頭上に集めると、ご丁寧に説明まで施してくれた。
「このクリスタルは、体から離れた命を結晶化したものさ。こいつを砕けばその時こそ本当の死。もっとも、ぼくを倒せばみんな助かるのは、ま、お約束」
助ける気なんて無いくせに。
負ける気なんて無いくせに。
更に冥王はしゃべり続ける。
「このクリスタルはね、砕ける時がすごく綺麗なんだ。見てみたくない?」
「……誰がそんなもの……」
「だったら重破斬を打つんだね。もしかしたら、暴走させないで済むかもしれないし」
「………………」
無言で返したリナさんのその答えは、否。
その態度がお気に召さなかったのか、冥王は先程までの笑みを一転させ、つまらなそうに呟く。
「……ふーん、誰か一人くらい殺さなきゃわからないか」
そしてクリスタルを物色すると、何でも無い事の様に、さらりと言ってのけた。
「じゃ、誰からにする? この合成獣の男からにしようか……」
───しかし。
ゼルガディスさんに目を止めていた視線を直ぐに外すと、冥王は面白い事を思いついたと言わんばかりに、ガウリイさんのクリスタルを見上げて言う。
「そうだ、この男にしよう! ほっといても、そろそろ死んじゃう頃だもんね」
「───っ!!」
冥王は指先に小さな魔力球を生み出すと、迷う事なくそれを放った。
避けようのない攻撃はクリスタルを直撃し、嫌な音を私達に届ける。
が、人質は生かさず殺さずが鉄則。
冥王の魔力球はヒビを入れただけに過ぎなかった。
───……けれど。
その行為はリナさんにとって、絶大な効力を発揮した。
「ガウリイっ!!」
彼女が叫ぶと同時に、四つの呪符が輝きを放つ。
そして。
───……そして。
己の全てと引き換えに、彼女は、リナさんは……。
禁断の術を口にした。
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