「闇よりもなお昏きもの
夜よりもなお深きもの」
重破斬の呪文詠唱。
「ようやくその気になってくれたね」
リナさんが唱える混沌の言葉を聞き、冥王が歓喜の声を上げる。
「混沌の海よ たゆたいし存在
金色なりし闇の王」
本来なら、止めるべきなのだろう。
呪文の詠唱を。
リナさんを。
「我ここに汝に願う
我ここに汝に誓う
我が前に立ち塞がりし
全ての愚かなるものに」
でも、ガウリイさんを失いたくないという気持ちも分かるから。
痛いくらい、よく分かるから。
「我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを───」
リナさんの掲げた両手に闇が産まれた。
いや、虚無が、混沌が産まれた。
リナさんが必死で制御しているが、その力は留まる事を知らず、辺りにも影響を及ぼし始める。
───そんな中。
「この時を待っていたぞ!」
冥王は嬉々としながら、両手を広げた。
それに反応するかのように、背後のクリスタルに稲妻状のエネルギーが集まり始める。
───そして。
「今この瞬間にその身を滅ぼし、混沌の力を暴走させるがいいっ!」
その冥王の言葉を合図に、魂を閉じ込めたクリスタルを媒体にしたエネルギーは赤い光の雨となって私達に降り注いだ。
「しまっ……」
「死者の魂に、その身を貫かれろぉおおおぉおぉおお───!!」
咄嗟に結界を張るも、冥王の攻撃の方が数瞬早い。
赤い光はリナさん目掛けて突き進み───、
彼女を貫いた。
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