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「リナは……リナはどうなっちまったんだ!?」

「そうです! リナさんはどこに!?」



アメリアさんの問い掛けに、ゼロスは無言のまま首を横に振る。

それはつまり、この場に彼女が居ない事を示していて……。

その意味を察したシルフィールさんは、その場に崩れ落ちた。

他の人達もどうすることも出来ず、呆然と立ち尽くしている。

───……しかし、そんな中。

ただ一人、ガウリイさんだけは真っ直ぐに『リナさん』を見詰めていた。

その視線に応えるように、それまで黙っていた『彼女』が、その口を開く。



『私は、かつてリナと呼ばれていた存在(もの)の意志によってこの地に現れた。それは、己の全てと引き換えに、その男の命を、助けること……』



『彼女』が指差した先。

そこにはガウリイさんが立っている。



『リナと呼ばれし存在(もの)の尊き願い、真の意志、純粋なる心。その想い故に、我はここに在る』

「己の全てと引き換えって……」

「それが、リナの望んだことだというのか!」



ゼルガディスさんが納得出来ないとばかりに、『彼女』に噛み付いた。

それは相手がどんな存在であろうとも、仲間を大切に想っているからこその言葉で。

そんな彼の気持ちが分かったからか、『彼女』はあえて言葉にはせず、無言で肯定を示した。



「無の対極にあるのは有。すなわち純粋なる願い。有が無を呼び、有は無に帰す……等価交換という訳ですね」



ゼロスの解説に、シルフィールさんが声を荒げる。



「じゃあリナさんは……リナさんは!?」

『すでに我が混沌の内にある……永久に……』

「……クソぉ!!」



ゼルガディスさんが悔しさをぶつけるように地面を殴りつける。

その傍らで。

終始無言だったガウリイさんが前へと───リナさんへと近づき呟いた。



「……ふざけるな……」

「ガウリイ!」

「なんだかわからんが、リナが居なくなっちまうっていう事だったら、そんなのは……取り消しだ。取り消しだぁっ!!」



叫ぶガウリイさんに続き、マルチナさんもリナさんへと呼び掛ける。



「そうよ! みんなが、ガウリイが助かったって、あんたがいなくちゃダメなんだからぁ!」

「そうだ……その通りだ」

「リナぁ! 目を覚ませ! リナぁあっ!!」



その皆の声に、リナさんを想う心に。

私は『彼女』を見上げて笑う。



「すっかり悪役ですね」

『…………』



無言で睨まれてしまったが、私の顔から笑みは消えない。

『彼女』がただの傍若無人じゃないと知っているから。



『ユウ……汝も元いた世界へ帰るが良い。力添えなら、してやれる』



言う内にも私達は天空(そら)に向かって、地上から離れ始めていた。



「そうですね……でも、その前に……全てを見届けさせて下さい」



それが彼との約束だから。

全ての片がついたら、ゼロスの言葉を聞かせてもらう約束だから。



『だが、リナと呼ばれた存在はすでにここには居ない』



下を見れば、立ち去ろうとしている『リナさん』に、必死に手を伸ばしているガウリイさんが見えた。



「リナぁーっ!! お前の居る所はオレのそばだ! とことんの中なんかじゃないぞぉっ!」

「それを言うなら混沌の中だ!」



ゼルガディスさんが冷静に突っ込みをいれている。

そうこうしている内にも私達は確実にガウリイさん達との距離を広げていた。

それを見て『彼女』は言う。



『この事実は変わらない。あの者達にそれを変える力も無い。それが全てではないのか?』

「……そうですね……でも」



───……でも。

彼等にそんな理屈は通用しないだろう。

特にガウリイさんには。

だって、リナさん自身がそういう人だから。

常識も何もかもを、くつがえす人だから。

彼らはそんなリナさんの仲間だから。



「彼らなら何とかしちゃう……そんな気がするんです」

『………………』



それはただの願望ではなく、確かな予感。

きっと大丈夫。

そしてその予感は、すぐに現実のものとなった。



「リナーっ!」



崩れ、巻き上げられた瓦礫の上を跳んで移動するという、離れ業をやってのけた、

ガウリイさんの手によって……───。

















あとがき

ほらね。
やっぱり一筋縄じゃいかない。

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