「良かったんですか?」
リナさんとガウリイさんが再会しているのを混沌の内で眺めながら、私は隣にいるロードに話し掛けた。
彼女は金に煌めく髪をなびかせながら、どこか遠くを見つめるように二人を見ている。
「まぁ、あんな告白聞いちゃったら、仕方ないですよね」
リナさんを取り戻すべく、『彼女』を追って来たガウリイさん。
彼は、混沌へ帰ろうとしている『彼女』を───リナさんの腕を。
その身を挺して掴んだのだ。
「愛されてるなぁ……リナさん」
ほんの少し。
本当に少しだけど、それが羨ましいと思う。
そして悲しいと思う。
隣に居れるだけで満足。
その思いに嘘はないけど、
でも、
やっぱり───。
「……さて、と。そろそろ帰りますね」
沈む思考を払拭するべく笑顔で告げると、彼女はリナさん達から視線を外し、
「……どこへ?」
と一言述べた。
「どこって……」
その言葉に苦笑しながら視線を合わせ、彼女の真剣な瞳に、私は言葉を詰まらせる。
───……そうだった。
私の目的は果たしていたのだ。
異界黙示録で得た、水竜王秘伝のレシピ。
それは、つまり……。
「そう……ですね。そうですよね……」
ココにいる理由が無いと言うことで。
隣に居ることさえも出来なくなると言うことで。
「帰らなくちゃいけないんですね」
───私の在るべき所に。
彼の居ないあの場所へ───。
それでも。
それでも……。
帰る前にもう一度。
「お別れくらいはして来ても良いですよね?」
苦く笑う私に、金色の母はコクリと一つ頷いた。
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