それは突然だった。
辺りに閃光と疾風が走り、あまりの眩しさに目を閉じた。
そして、そんな私の耳に入って来た二つの声。
「あ、居た居た♪ やっと見つけたよ」
「……やれやれ、門限はとっくに過ぎてますよ、ユウ」
軽い声音に、淡々とした口調。
そのどちらもが聞き覚えがあるもので、そして何より呼ばれた私の名に困惑した。
この……声は……。
……まさか……。
私は信じられない思いを胸に、恐る恐る目を開ける。
───すると。
光が収まったこの場に、先程までなかった影が二つ増えていた。
一つは黒い制服を着崩した、紫黒の髪に灰紫の瞳の持つ妖艶な笑みを浮かべる人物のもの。
もう一つは同じ制服をきちっと着こなし、未だ治まらない風にハニーブラウンの長い髪を風になびかせる、深紅の瞳を呆れさせた人物のもの。
それを見て、私は思わず息を呑んだ。
「……ユーリに、ディルっ!? なんで、二人が……」
声で予想はついていたものの、やはり驚きは隠せない。
居るはずのない二人。
彼らは本来、私が居るべき時間の住人。
その二人がここに居る。
その意味は───。
「もちろんユウを連れ戻す為に決まってるでしょう」
呆れの色を含ませた言葉は、私の心臓をドキリとさせた。
「何ヶ月も塔を留守にして、心配したんだよ?」
「溜まりに溜まった仕事、きっちり片付けてもらいましょうか」
「その前に僕らに心配かけた事を反省してもらわなきゃね」
そんな私に気づいているのか、いないのか。
二人は口々にそんな事を言いながらコチラに歩み寄ってくる。
だが、次の瞬間。
不意に、彼等はピタリとその動きを止めた。
「……?」
混乱しつつも、それを不思議に思って首を傾げる私。
───すると。
直ぐさま硬直から脱した二人は、物凄い勢いでコチラに近づいて来て、私の肩を掴むと鬼気迫る表情で次々と質問を投げ掛けてきた。
「どうしたのっ!? それ!」
「誰にやられたんですっ!?」
「傷はっ!? 傷はどこっ!?」
「見せなさい!」
そんな彼等の行動について行けず、今度は私が身を固まらせてしまう。
そうこうしている内に、いきなり血まみれのマントと上着を剥ぎ取られ、更に二人は、傷はどこだと騒ぎながら、身体をチェックする。
全く……相も変わらず過保護なんだから。
「……もう治したってば」
「無い、傷痕も無いねっ!?」
「うん、無い無い」
私は呆れながら二人から服を奪い返し、それらをまとう。
しかし、それで治まる彼らではない事は、長い付き合いの私が一番よく知っている。
「で、これは誰にやられたのっ!?」
「血の量からみて、不注意やただの事故では無いのでしょう? 誰にやられたんですっ?」
ゼロスに。
なんて口が裂けても言えない。
言ったが最後、彼を地の果てまで追い掛け、制裁を加えるだろう。
例え相手が魔族でも。
この二人ならやる。
絶対殺る。
そうならない為にも、どうごまかそうかと思考を働かせ───。
そこにリナさんが気まずげに声を掛けてきた。
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