両者の紹介が無事終わり、一段落ついた頃。
おもむろにディルは切り出した。
「さて、帰りましょうか。貴女の在るべき所へ」
その言葉に慌てたのは私。
「ぇっ!?」
「えって、私達が何の為にここに来たと思ってるんです」
「あんまりユウが遅いから迎えに来たんだよ?」
「ま、待って……あと少しだけ」
まだゼロスに会ってすらいないのに。
「せめて半日……それが駄目ならあと数時間でも構わないから」
「待ってあげたいのはやまやまなんだけど、時間が無いんだよ」
「……時間?」
「ユウを迎えに来る為に、ある人から力を貸してもらったんだけど、それがタイムリミット付きでね」
「あと数分と持ちません」
ある人って……タイムリミットって。
散々遊んでおいて……。
いや、それより何より。
「時間が無いなら私は後から帰るから、ディル達は先に帰ってて……」
そう。
来た時も一人で来たのだ。
帰りだって一人で大丈夫。
───けれど。
二人はそれを了承してはくれなかった。
「ゴメンね。その願いは聞いてあげられない」
ユーリは私の頭にポンと手を置き、申し訳なさそうに顔を歪める。
でも。
だけど。
今回ばかりは私も引き下がれない。
引き下がりたくない。
「後でちゃんと帰るから。仕事だってサボらずやるから! だから……」
「ダメです」
ディルが私の腕を掴み、リナさん達に向き直る。
今すぐにでも帰る為に。
それが分かって何とか腕を振り解こうとするのだが、単純な力比べで勝てるはずも無く、
「それでは皆さん、お会いして直ぐになんですが、時間ですのでこれで失礼します」
「失礼しますって」
「どこに帰るんだ?」
「僕たちの在るべきところにね」
「ちょっ……やだっ!」
まだゼロスとの約束を果たしてないのに。
この件が終わったら聞かせてくれる約束だったのに。
「離してっ!」
「ユウが物凄く嫌がってんだけど?」
「本人は後で帰るといってるんだ。置いていく訳にはいかないのか?」
「まぁ、僕らにも事情があってね」
「事情……?」
「そんなの知らないもんっ! いいから離してっ!」
なりふり構わず暴れる私にディルは溜め息を吐く。
「やれやれ……仕方ありませんね」
言うと同時に、こともあろうに。
私の首に手刀が打ち下ろされた。
「っ……!?」
堪らず崩れ落ちる私の身体。
そして───。
そして。
意識が闇に落ちるその間際。
リナさん達の向こうに、
ゼロスの姿を見た。
そんな気がした。
あとがき
さよなら。
その一言も言えなくて。
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