カタワレ(1/5)

「……きろ……」





あぁ、

誰かが何かを言っている。





「……おい」





その声は次第に大きくなっていき……───。




「いい加減起きろ、何時だと思ってる!」




何を言っているのか半分以上理解できなかったが、起きろと言う3文字だけは私の眠りを妨げるものだと本能的に理解し、その声から逃れるように背を向ける。



「起きないってんならキスしちまうぞ」



やだ。

まだ私は寝てたいの。

明日に控えた戴冠式を前に、昨夜から昼間近くまで書類仕事をしていたのだ。

私には眠る権利があるはずだ。

それなのに睡眠の邪魔をするとは一体どういう了見か。

正義が大好きなお姫様に言わせれば、人の眠りを遮ろうだなんて、すなわちそれ悪である。

さらに悪人に人権は無いってリナさんも言っていたし、そんな非常識人の声に耳を傾ける必要は無いはずだ、うん。

朦朧とする頭でそんな事を考え、私は声を拒絶するように背を向けたまま身体を丸める。

───けれど。

空気の読めない声の主は諦めなかった。



「それでも良いのか?」

「…………」

「俺は聞いたからな」



何かものすごく理不尽な事を言われた気がする。

そう思うのとほぼ同時に肩に手が置かれ、無理やり体の向きを変えられた。

自然と眉間にしわが寄るのを感じたが、この感覚には覚えがある。

人の都合はお構いなしな、この行動は……。

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