「急用が出来ました」
「は?」
後ろを歩いていたはずのゼロスは、あたしの前に回り込み、一言告げると、いきなり姿を消した。
「ちょっ……ゼロスッ!?」
慌てて呼び掛けるもゼロスからの返事はない。
「……一体どうしたんだ?」
「さぁ? 何か慌ててたみたいですけど」
「アイツの事だ。大方、上からの命令でもあったんじゃないのか?」
あたし達はしばし呆然と立ち尽くした後、彼の単独行動はいつもの事と諦め、街に向かって再び歩き始めた。
───それが今から5日前の事。
そして今現在。
ゼロスが居なくなってニつ目の街の宿屋に着いたあたし達が見たのは、
「はい、あ〜ん♪」
「…………自分で食べれますから」
「ダメですよ。ユウさん病み上がりなんですから。僕が食べさせてあげます。はい、あ〜ん♪」
「………………」
人目もはばからず、レンゲにすくった雑炊をユウの口許に持っていくゼロス。
それに、呆れて項垂れるユウの姿だった。
『………………』
その光景に固まったのはあたしだけではない。
ガウリイ達もポカンと口を開けてそれを見ている。
「……あの、本当に大丈夫だから……」
「いえ、ちゃんと食べていただきます」
「………………だから」
ユウは困ったようにチラリとゼロスから視線を外し、
「リナさんっ!?」
「やっほー……ってアンタ達何やってんのよ」
「て言うか、どうしてユウさんがこの街に居るんですか?」
「オレ達とは反対の道へ進んだはずだよな?」
「……えーと」
あたし達の疑問に、ユウはどこぞの神官よろしく、頬をポリポリと掻きながら苦笑した。
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