「それが……リナさん達と別れた後に目眩がして倒れてしまって」
「……倒れたって……大丈夫なの?」
「あぁ、ただの風邪だったみたいなんですが……そこにゼロス……さんが現れて、私をここまで連れてきてくれたんです」
「…………連れてきた……は良いけど、何だってイチャついてんのよ」
ユウ達と同じ席につき、呆れながら尋ねると、
「何か懐かれたみたいで」
「懐かれたって……」
「はい、ユウさん。口を開けて下さいね。食べないと元気になりませんよ?」
『………………』
まぁ、懐いてるっちゃ懐いてるけど……。
でもだからって安心は出来ない。
相手は曲がりなりにも魔族。
あのゼロスなのである。
全く。
今度は一体何をたくらんでいるんだか。
頼んだ香茶を含みつつ、ゼロスの方に視線を向けると、
「はい、あ〜ん♪」
「………………」
って、まだやってるし。
「うーん、どうしても開けてくれないのであれば仕方ないですねぇ。『あ〜ん』が嫌なら、口移しにしますか?」
ぶぴゅっ。
とんでもない事を言い出すゼロスに、あたしは思わず香茶を吹き出した。
「ちょっとゼロスッ!! 一体何考えてそんな事言い出すのよっ!!」
「………………」
食って掛かるあたしに、ゼロスはこちらを向き、きょとんとした顔をする。
まるであたしが居る事に今気づいたと言わんばかりに。
「リナさん、いつの間に居たんですか?」
だがしゃあっ!
って、気づいてなかったんかい!!
彼の言葉に、あたしはイスからひっくりこけた。
「あ……あんたねぇっ! さっきから居たでしょうがっ!! ユウとの会話、聞いてなかったなんて言うんじゃないでしょうねっ!?」
「聞いてませんでした」
どごしゃあっ!
今度は盛大にテーブルに突っ伏す。
料理まだ頼んでなくて良かった……。
あたしはよろよろと身を起こし、そこにゼロスが冷静な一言を発する。
「おやおや、何をはしゃいでいるんですか? リナさん」
「でぅのろあぁあぁぁーっ!!」
その一言にあたしは発狂した。
「誰の所為だと思ってるのよっ!? 誰のっ!!」
「り、リナさんっ!? 落ち着いてくださいっ!! って言うか、ガウリイさん達も他人のフリしてないで、リナさん止めるの手伝ってくださいよっ!!」
隣のテーブルで我関せずな3人にユウが呼び掛けるも……。
ガウリイとアメリアは両手を肩口まで上げ、顔を横に振り拒否し。
ゼルに至っては、コーヒー片手に明後日の方を向いている。
そして───。
狭い食堂に、あたし達の声が響き渡った。
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