『前に何処かで』
その問いに、私は頭を振って答える。
「いいえ?」
「そっか……なんか見覚えがあるっていうか、懐かしい感じがしたんだけど」
「…………」
彼女の言葉に、私は口をつぐんだ。
私の記憶違いという事はまずない。
それは自信を持って言える。
けれど───。
「リナさんもですか?」
「へ?」
「わたしも何処かでユウさんに会ったような気がするんですよ」
そう言ったのはアメリアさんだった。
しかし記憶がハッキリしないのか、彼女は首をひねり、不思議そうに私の顔を見ている。
それに対し、男性陣も反応を見せはじめた。
「アメリアもか」
「ゼルガディスさんもですか?」
「あぁ。だが何処で会ったか、そもそも会ったことがあるのかさえ曖昧だが……前に会った事があるような気がするのは確かだ」
これまた真っ正面から正視され、少しばかり気恥ずかしい思いに捕らわれる。
が、それも直ぐにかき消えた。
「おー、そっかぁ。オレの勘違いじゃなかったんだな」
と言うガウリイさんののんびりした言葉によって。
「え、何? ガウリイ、ユウを知ってるの?」
「いや、知ってる訳じゃ無いんだが、知ってるような気がするんだ」
「つまり……」
曖昧な答えを返すガウリイさんにリナさんは、眉を顰める。
「あたし達4人がユウに見覚えがあるってこと?」
「いえ、正確には5人です」
「なんだゼロス、お前もか?」
「えぇ、何故かユウさんを見ていると懐かしい感じがしますね」
「………………」
そう言って微笑むゼロスさんに、私はただ苦笑を浮かべる事しか出来ない。
そんな私をお構いなしに、ゼロスさんは考える素振りを見せながら、首を傾げた。
「ですが、前に会ったことがあるかと聞かれると、どうしても思い出せないんですよ」
「歳なんじゃないの?」
「リナさぁんっ」
リナさんの茶々に、彼は情けない声を出しながら抗議する。
が、彼女は気にも留めず、私に向き直ると頭を掻きながら言った。
「まぁ、ガウリイの記憶もあやしいもんだけど……おかしな話よね?」
それに対し私は、何も言うことが出来なかった。
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