「……ふぅ」
私は一息付いて噴水の縁に腰かけた。
「疲れた……」
ぐったりしながら私は呟く。
あのやり取りも去ることながら、何より凄いのが食事の時。
あまりにも壮絶な食事に、私は早々に切り上げ、外に避難してきたのだ。
とてもじゃないが、リナさん達と同じ席での食事は体力が持たない。
凄まじいまでの生命力……。
そんな事をぼんやりと思っていると、横手から声をかけられた。
「こんな所に居たんですね。探しましたよ?」
「……ゼロス」
見上げればそこに、笑顔の彼が佇んで居る。
けれどその笑顔の中に、ホッと安堵した表情を見つけ、私は居たたまれない気持ちに苛まれた。
ゼロスには一言断って来ればよかったかも。
「ごめんなさい。少し外の空気を吸いたくて」
そう素直に謝れば、彼は無言のまま隣に腰を下ろし、私の顔を覗き込んでくる。
「───何?」
突然の接近を不審に思う。
が、そんな事はお構いなしにゼロスはスッ───と私の頬に手を添え、ゆっくりと口を開いた。
「顔色、良くなりましたね」
「ぇ……あぁ、お陰様で」
そう答えつつ、私はここ最近の事を振り返る。
彼の迅速な対処と看病のお陰か、随分早く回復する事が出来た。
あのままあの場所で人知れず倒れていたら、最悪死に至っていたかもしれない。
まぁ、目覚めた時には居るはずの無いゼロスと、献身的に尽くしてくれる姿に驚いたけど。
……と、そこまで思い出して、お世話になった彼に尋ねた。
「ゼロス、今何か欲しいものある?」
「……は? 今、ですか?」
その質問が突然すぎたのか、ゼロスは手を引っ込めながら訝しげな顔をする。
そんな彼に「そう」と首を縦に振った。
「今回の事で何かお礼がしたいんだけど」
「あぁ、そういう事ですか」
私の説明に合点がいったのか、ゼロスは一つ頷くとその後ニッコリ笑い、言葉を続ける。
「ですが結構ですよ。僕がしたくてした事ですから」
「……そう。じゃあ、お礼も私がしたくてする事だから、例えウサギのぬいぐるみや、道端の花を贈っても問題無い訳ね?」
「…………いや、と言うか、それって最早お礼じゃなくて、嫌がらせですよね」
「心が籠ってればお礼だと言い張ってみる」
「…………えーと」
「今なら変更も受け付けますけど?」
そう告げれば、ゼロスは困ったように頭を掻き、広場にある店を見回した。
広場には噴水を中心に、食べ物関係のお店から、洋服、装飾、魔道関係や本屋まで、ありとあらゆる店が並んでいる。
そんな中で、何か欲しい物が見つかったのか、ゼロスの視線はある場所でピタリと止まった。
「決まった?」
「えぇ。こちらです」
「ちょ……」
言ってゼロスは私の手を引き、お店に向かって一直線に進んで行く。
そのお店は……。
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