「うーん、これは……」
「何か分かったんですか?」
「さっきリナも言ったが、理論ばかりでどうしようもないな」
「こうすれば多分こうなるだろうとか、おそらくそうなるはずだとか……憶測ばかりで現実味が無いわ」
「そんな……」
投げやりに魔道書をめくるリナに、アメリアが悲嘆する。
「でもユウはそれを使って小さくなったんだろ?」
「そこなのよねぇ……何でコレを読んで、こんな事が出来たのか……」
「もともと時間操作の基礎が出来ていたのかもしれん……となると」
おれの体も人間だった時間に戻せば……。
そう呟くゼルガディスに、リナは苦笑した。
「ちょっとゼル、今はユウを元に戻すことの方が先だかんね?」
「わかっている。それに、ユウに直接聞くのが一番だからな」
「でもどうするんですか? このままじゃユウさんを戻すのは難しいんじゃあ?」
「うーん……」
皆で考え込んでしまってるその横で、退屈していたユウはゼロスに「抱っこ〜」とねだる。
普段ユウに蔑ろにされがちなゼロスは、それに嬉しそうに応えてやっていた。
「そう言えば朝ごはんまだでしたね。何か食べますか?」
「んー……ホットケーキ!」
その様子を頬杖をつきながら眺めていたリナは、呆れて言う。
「それにしてもゼロスに懐いてるわよねぇ……やっぱりあんたの隠し子なんじゃないの?」
「違いますっ! というか、ユウさんが変な言葉を覚えちゃったらどうするんですかっ!」
「どうすると言われても……」
「そういう無責任が、子供の教育に悪影響を与えるんですよっ!?」
アンタはどこの教育ママよ……。
と、ツッコミたい所ではあるが、無駄そうなので止めておく事にする。
「……わかったわよ。あたしはコッチに専念するから、後は任せるわ」
「そんなこと言わずに。子育ては夫婦揃ってするものでしょう?」
「誰が夫婦よ、誰がっ!?」
「いやだなぁ、僕とリナさんの仲じゃないですか」
「なっ!? 何言ってんのよっ!?」
「はいはい、痴話喧嘩はそこまでにして下さいね。ユウさんが面白くなさそうにしてますよ?」
「だから誰が痴話喧嘩……っ」
「おや、妬いてくれたんですか? ユウさん」
嬉しそうに尋ねるゼロスに、しかしユウはきょとんとしながら首を傾げ、不思議そうに尋ねる。
「ゼロスお兄ちゃんとリナお姉ちゃんはチワワなの?」
「は?」
「だってチワワの喧嘩って」
「あぁ、それはチワワじゃなくて痴話喧嘩です」
「……チワゲンカ?」
「情事が元で喧嘩する事だ」
「じょー……?」
ゼルガディスの説明にユウは更に首を捻る。
「ゼルガディスさん、子供には難しいですって」
「それにしても、ユウさんって子供の頃は無邪気だったんですねぇ……」
自分の膝の上で食事し始めるユウを見ながら、ゼロスはしみじみと呟いた。
そんな彼の言葉に、リナはふと思った事を口にする。
「今なら何でも答えそうよね」
『…………』
その言葉によって、普段謎の多いユウへの質問大会が始まった。
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