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「……まだ読んでなかったのに……最後まで読んでなかったのに……」

「まぁまぁ、形あるものは全て無くなると言いますし♪」



落ち込む私のその隣で、何やら嬉しそうに笑っているゼロス。

人の不幸を喜ぶなんて……。

やっぱり魔族だ。



「何なら今から違う魔道書を見に行きませんか? 空間操作の魔道書を見付けたんです」

「っ!? 行く!」



その言葉に、私は沈んでいたのも忘れてゼロスの腕にしがみつくと、彼を急かした。

空間操作の魔道書なんて滅多にお目にかかれないレア中のレア商品。

今手に入れないでいつ手にするというのか。



「早く、早く!」

「大丈夫ですよ、ユウさん。魔道書は逃げませんから」

「魔道書は逃げなくても、誰かに先を越されるかもしれないでしょ!」



そして。

周りから見れば、これがデートに見えるなどとは露ほども思わず、私は笑顔の神官を引き連れ、店へと向かったのだった。





















おまけ



「ユウさんの機嫌、直って良かったですね……」

「よっぽど怒ってたんだろうなぁ……」

「無意識に竜破斬(ドラグ・スレイブ)唱えてたぐらいだからな……」

「ユウって、結構過激よね……」

『……うん』



end.

(二周年記念 ささら様へ)

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