「と言うことはお前さん、耳が弱いのか?」
反応の無いユウを現実世界に引き戻す為にとる手段がそれと言うことは、つまり───。
それを肯定するかの様にその言葉にユウは一瞬固まり、
「…………何の事でしょう?」
「ほぉ、弱いのか」
「そんな事ないですよー?」
「弱いんだな」
「ぅ……」
形勢逆転。
良いことを聞いたと言わんばかりの表情で、ニヤリと口角を上げるゼルガディス。
それに対しユウは困ったように笑い、
「この事はお互い内緒という事でお願いします」
「言っておくがアレは驚いただけであって、弱点な訳ではないぞ」
「……へぇ?」
「おい、信じてないだろ……お前」
「そんな事ないですよ。弱点じゃないんでしょう? ちゃんと理解して記憶しましたよ」
「…………」
「さてと、それじゃあそろそろ皆の所に戻りませんか?」
「…………」
ゼルガディスは面白くなさそうに顔を顰めたが、そろそろ帰らないと司書に追い出されるのは目に見えている。
仕方なくユウの言葉に従おうとして、ふと違和感を覚えて耳をすませた。
その様子に気付いたユウは、不思議そうな視線を彼に向け、
「……どうかしましたか?」
「……妙じゃないか?」
そう言われてユウもハタと気付く。
辺りの空気は静けさに支配されている。
と言っても、図書館と言う場所柄を考えれば、取り立てておかしな事ではない。
だが、今回の事に関して言えば、それはやはりおかしな事だった。
「確かに。これだけ騒いでて司書さんに怒られないって言うのはおかしいですね……」
「ひとまずココから出るぞ」
「はい」
普通じゃない状況では何が起こるかわからない。
ユウ達は慎重に図書室の扉へと向かい、そこで思わぬ出来事に出くわした。
扉が開かないのだ。
「魔族の結界の中……と言う訳でもなさそうだな」
もしそうなら今頃それなりの攻撃があってしかるべきである。
だがそれが無いと言うことは、コレが結界では無いことを如実に物語っていた。
しかし扉が開かないのも事実。
そこでユウはある考えにたどり着く。
「……もしかして閉館しちゃったんですかね?」
「………………」
そして、事態は冒頭のやり取りへと戻ることになる。
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