───彼は普通の人間なの。
その一言が胸に突き刺さる。
もし……もし仮に僕が人間だったのなら、何か変わっていたのだろうか?
もっとユウさんとの距離を縮める事も出来たのだろうか……。
種族の差を気にすることなく、屈託なく接する事が……。
───どうして
どうして僕は……人間ではないのか───
そのどうしようもない感情に、僕は杖を握る手に力を込めた。
その時。
「うわああああぁっ!?」
「アルバートさんっ!」
思考に囚われていた僕は、突然の悲鳴にハッと視線を上げる。
そこには低級魔族であるレッサーデーモンが数体と、純魔族の姿。
何故ここに純魔族が……。
そう思う内にも体は動き、ユウさんを援護するように彼女の前に飛び出る。
目の前には腕を振り上げたレッサーデーモン。
どういう理由でユウさん達を襲ったのかは分からないが、今は彼女の身の安全が第一である。
僕は杖を一振りし───
「っ!?」
力が振るえないっ!?
思った時にはレッサーデーモンの腕に薙ぎ払われていた。
「ゼロスっ!?」
だんっ!!
と近くにあった木に体を打ちつけられ、激痛が走る。
「ぅく……」
……何だ?
一体、何が起きている?
この僕が、たかが亜種であるレッサーデーモンに吹き飛ばされるはずが無い。
ましてや激突して痛みを感じるなど……。
痛む腕を押えながら辛うじて薄目を開け、現状を把握する。
するとユウさんがアルバートさんを庇うように魔法を唱え、まずは1体レッサーデーモンを無に帰したところだった。
ちなみに先程「本当に危なくなったら俺が守ってあげるから」と大きな口を叩いていた彼は、腰が抜けたのか、その場でへたり込んでいる。
……とはいえ、僕もあまり人の事を言えない状況には違いないが。
よろつく体を木で支えながら立ち上がり、僕は側で佇む純魔族を見た。
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