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───もどかしい。

力が振るえない事がこんなにも惨めだとは……。



突然の爆風の後、シュヴァリエと名乗った魔族に相対したユウさんは今、僕の目の前で苦しげに顔を歪ませていた。



「ふん、獣神官が気に掛ける程の人間とはどれ程の力があるのかと思ったが……レッサー・デーモンを葬れる程度か」



わざわざ僕の前にユウさんを引きずる様にして運んできた彼は、言って面白くなさそうに彼女を地面へと打ち捨てる。



「ぅ……っ」



…………っ!!

僕は飛び出そうになる彼女の名前をぐっと堪えた。

ここで僕が取り乱せば、目の前に居る彼を喜ばせるだけである。

けれど、込み上げる怒りの感情だけはどうしようもなかった。



「ふん、他愛ないな」



どうする事も出来ない僕を見て蔑むように嗤った彼は、言ってユウさんに剣を突きつける。

そんな緊迫する空気の中、ユウさんはかすれた声で僕の名を呼び───。



「ゼロ……逃げ……」




その時、僕の中で何かが音を立てて崩れたような気がした。



「ふふん、逃げれるものなら逃げてみれば良い。力が衰退した今、どこまで逃げれるか見ものだな」

「…………」



…………出来るはずが無い。

ロクに動けず、空間すら渡れない様な現状だったとしても。

人間であるユウさんに助けられて、逃げ出すなんて。

そんな見っとも無い真似、僕の沽券に関わる。

……そうだ。

何を悩む必要がある。

僕は獣神官、獣王様にお仕えする者。

レッサー・デーモンを引き連れてお出ましの中途半端な純魔族に後れを取る様な僕じゃない。

僕は杖を握る手に力を込め───その時。

内に湧き上がるものを感じ、僕はそれに逆らうことなく力を開放した。

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