出会いも突然なら、別れも突然で。
私は一人。
ただ一人。
誰も居ない丘に佇んでいた。
───……ユウ。
突如として頭の中に響いた声。
ユウ……。
あんた一旦帰ってきなさい……───。
その声に、私は眉を顰めた。
「ユウさん?」
…………はぁ。
知らず知らず溜め息を吐いていたらしい。
目の前にある顔が曇ったのを見て、心ここにあらずの状態でも何となくそれが分かった。
「……えぇと、どうかしましたか?」
───全く。
あの人の我が儘には毎度手を焼かされる。
ここに来てまだ日が浅いと言うのに、もう帰って来いとは……。
一体私は何の為にココに来たのか。
「ユウさん、聞いてます?」
そもそも、こんな事になったのはあの人の我が儘が原因だし。
……………………。
「あの……ユウさん?」
「何?」
呼び掛けに、私は焦点をゼロスへと合わせた。
そうだ。
今はゼロスとお茶を飲んでいたんだ。
他愛ない話をしながら。
「いえ……あの、目が据わってらっしゃいるんですが……」
「気のせいよ」
「……僕、何かユウさんの気に障ること言いましたか?」
目の前の彼は困ったように眉を下げ、私の機嫌を窺っている。
その事に罪悪感を覚えつつ、私は口を開いた。
「…………ゼロスが悪いんじゃないわ」
思っていたよりも随分投げやりな感じになってしまったが、今の私にはこれが彼に言える最大の否定の言葉。
───そして。
「ごめんなさい」
「えっ!?」
私は一度謝ると椅子から立ち上がり、自分の飲んでいた香茶の代金をテーブルの上へ置いた。
そして固まるゼロスへと視線を巡らし、言う。
「急用が出来たのでココでお別れです」
「ユウさん?」
「それじゃあ……」
『またね』という言葉を呑み込み、唖然としているゼロスに頭を下げる。
そしてそのまま私は店をあとにした。
後ろで呼ぶゼロスの声を聞こえなかった事にして……───。
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