「まったく、何しに『ここ』に来たんだろ……」
はぁ……と溜め息を吐き、私は丘の上に杖を突き立てる。
それからノロノロと杖の先で地面に線を描いた。
「大体何の為に私をココへ連れてきたのよ、あの人は……」
一人ブツブツ呟きながら地面に図を描く姿は、端から見ると奇妙以外の何物でもない。
けれどココには私しか居ないのだ。
他の人にどう思われるかを気にせずに、私はガリガリと線を引き続ける。
「……せっかく」
せっかく……。
…………。
その後の言葉を打ち消すように、私は再度息を吐き出した。
「……はぁ」
大きな溜め息を吐き、今しがた描き上がった図の上に佇む。
そして内心毒づきながら呪文を唱え始めた。
それは『あの人』に……。
傍若無人な彼女に対する呼び掛け。
───けれど。
呪文の詠唱は途中で中断せざるをえなくなった。
目の前に彼が……。
黒衣の神官が現れたことによって。
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