「あ、帰るんだ?」
部屋から出るとそこには2人の姿があった。
腕を組みながら壁に寄りかかり立つ長髪の人物と、横手から僕の喉元に剣を突き付ける笑顔の人物。
とても嫌われてないとは思えぬ状況に、僕は苦笑しながら後ろ手に扉を閉める。
ぱたん……と音がして、そして静寂が訪れた。
人払いを済ませていたのか、辺りに他の人の気配は無い。
「わざわざお見送りして頂かなくてもちゃんと帰りますよ」
「うん、わかってるよ」
そう一言答えてから、ユーリさんはニッコリと笑みを深くし、チャキッと無機質な音をたてながら剣の角度を変えた。
普通の剣が効かないとは言え、あまりいい気分では無い。
一方、目の前のディルさんは何も言わずにこちらの様子を見ているだけ。
『どうでもいいと思っている相手には口もきかない』
そう言ったユウさんの言葉を思い出す。
やはり僕が認められていると言うのはユウさんの勘違い───。
「わかってる。こんな事が君に通じない事も含めて分かってはいるんだけど、どうしても君に忠告しておきたい事があって」
「何でしょう?」
余裕の笑みを浮かべながらそう問うてみたものの、大体の予想はついている。
ユウさんに近づくな、関わるな。
そんな所だろう。
余裕なんてないのに。
余裕なんてないくせに。
それでも僕は笑顔を崩さず、彼の言葉を待つ。
すると彼は声を一段と深いものにし、僕を睨みつけながら言った。
「ユウに何かあったらタダじゃおかない」
───と。
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