「………………」
───あれ?
いつの間に寝ていたんだろう……。
……術はちゃんと発動したはずだが……。
私はゆっくりと身体を起こし、辺りを見回した。
するとそこに。
「おはよう、やっとお目覚め?」
場違いなほどの笑みを浮かべた金髪美女が、私の目の前でゆったりと寛いでいた。
「術に集中しきれてなかった所為で意識を飛ばすなんて、馬鹿ねぇ」
あぁ、成る程。
寝ていた訳ではなくて、意識を失っていたのか……。
「ココにたどり着いたから良かったものの、下手したらあんた死んでたわよ?」
「………………」
それにしても起き抜けに、この言われようは無いと思う。
こんな事になったのは、彼女の所為なのに……。
「あら? 随分とご機嫌ナナメね。行く前はあんなに嫌がってたのに、そんなに戻って来たくなかったのかしら?」
「て言うか何やってんですか、人の部屋で」
意味ありげに笑う彼女に、私はジト目で見やる。
辺りを見渡せば私の部屋であることは間違いない。
そこで彼女は香茶を飲み、勝手にお茶菓子までだして暇を潰していたようだ。
「何って、あんたが帰ってくるのを待ってたのよ」
「…………で?」
「でって……何よ?」
「何の為に私は千年も昔にタイムスリップさせられたんでしたっけ、ロード様?」
なるべく嫌みに聞こえるように『ロード』と言うところに力を込めて発音する。
が、彼女はあっけらかんと答えた。
「仕方ないじゃない。あんたがあそこに居ても意味なかったんだから」
「……………………は?」
意味がないって……。
「どう言う事ですか、それ」
「どうって、そのままの意味よ。あの場所……って言うか、あの時間軸に居ても目当ての物は手に入らなかったって事」
それって……。
もしかしなくても……無駄骨……?
…………私の苦労って一体……。
その辺の事を色々突っ込んで聞いてみたいのは山々だが、そんな事を言って彼女を怒らせると後々面倒なので、ここはぐっと我慢する。
が、そんな私の忍耐を嘲笑う様に、彼女の要求は留まる事を知らない。
「だから、今度は違う時間にタイムスリップしてきてね♪」
簡単に言ってのける彼女。
その言葉に。
私は固まらずにはいられなかった。
ALICE+