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「……ぇ?」



私は彼女の問い掛けを反射的に聞き返していた。

すると、今度はアメリアさんが私に尋ねてくる。



「誰なんですか、アレは」

「誰って……ゼロスさんじゃないですか」



その問いに答えると、今度は何故かゼロス当人が眉をピクリと動かした。



「おや、貴女とはどこかでお会いした事がありましたか?」

「は? 何を言って……」



ゼロスの探る様なその視線に私は苦笑し、



「そう言えば、あたしの事も知ってるような口振りだったわよね?」

「………………」



続けざまに発せられたリナさんの言葉に固まる。

そして、そこで初めて私はある可能性を思い付いた。

もしかして……もしかすると。

……そうかもしれない。

てっきり私は前の時間よりも後の世界に来たものだとばかり思っていたのだが……。

どうやらそれは間違いらしい。

前の時間よりも過去───今まさにリナさんとゼロスが初めて出会った瞬間。

私はその時軸へとやって来たのだ。

そう考えると全ての辻褄が合う。

ここで初めてリナさんに声を掛けた時の皆の表情。

アレは私の出で立ちに驚いた訳ではなく(もちろんそれもあるのだろうけど)根本は『見知らぬ私』に驚いていたのだろう。

そして私をスルーし、知らないと言ったゼロス。

それらを総合させると、つまりはそう言うこと。

それを証明するように、リナさんに尋ねると、



「あの……変な事をお尋ねしますが、リナさんとゼロスさんは初対面なんですか?」

「こんな怪しい奴、知らないわね」



と、思った通りの答えが返ってくる。

……しかし。

それならそうと言っておいて欲しかった。

私は尊大で身勝手な『彼女』のいい加減さに溜め息を吐く。

するとゼロスはそんな私を気にするでもなく、リナさんに顔を向け、



「あぁ、ご心配なく。決して怪しい者ではありませんから」



と、これまた綺麗に無視してくれた。

……別にどうとは言わないが……。

言わないけれど……。

それは無いんじゃないだろうか……。

微妙な疎外感を感じ、眉根を寄せる私。

けれど、

───次の瞬間。

ゼロスに視線を投げられ、私はハッとした。

決して好意ではなく、射る様な鋭い眼差しに。

探るような瞳に。

そしてそれも束の間。

リナさん達に気付かれない内に彼はいつもの笑顔になり、「そちらの方はご承知みたいですが……」と前置きすると明るい声で述べた。



「ご覧の通り謎の神官(プリースト)、ゼロスと言います♪」



その言葉に。

その表情に。

先程のギャップを感じながら思う。

そのフレーズは決まり文句なのだろうかと。

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