「作り話かよ、今の」
「……随分と手の込んだ話ですね」
「こらゼロス! こっちは真剣なんだかんねっ! おちょくんないでくんない!?」
けれど、そんなリナさんの言葉もどこ吹く風。
ゼロスは飄々としている。
「別にふざけてませんよ。大筋は本当ですし、何よりこの役目はリナさん達でなければ困るんです」
「だから、その理由は?」
「……それは秘密です♪」
ピッと人差し指を立て、ウインクしながらのその返答に、一瞬空気が固まった。
「何ですか何ですか、あの態度!?」
「くぅ〜!! どこまでも人を食った奴ぅ!!」
「えぇっ! 人を食った!? そんな残酷な奴には見えないけどな」
ごんっ!
的外れなガウリイさんに、すかさずリナさんの拳が振り下ろされる。
そんなコントの様なやり取りを、つまらなさそうに遮ったのはゼルガディスさん。
「ふん、くだらん。いずれにしろ同じ獲物を狙っていると分かってる奴に、わざわざ協力してやる馬鹿がどこにいる」
それまで黙って壁に寄りかかっていた彼は、鋭い視線をゼロスへと投げ掛けた。
それに怯むことなく、笑顔の彼はある案を提示する。
「それならば、写本の中からゼルガディスさんに必要な情報は必ず提供するってのはいかがでしょう?」
「当てになるものか」
「おやおや」
一言のもとに切り捨てられたゼロスは肩を竦め、その態度が気に入らなかったのか、ゼルガディスさんは彼に掴み掛かった。
「貴様、何を企んでいる!?」
「まぁまぁ、ゼル。過去に色々あって、あんたが人間不信になる気持ちも分かるけど」
「そうそう。ダメで元々って事もあるじゃないですか」
リナさんやアメリアさんが宥めるも、彼の熱は冷めそうにない。
「おれはそんな悠長な事をしている程、物好きじゃない」
「じゃあ一体どうすれば良いの?」
「言ったはずだ。これはあくまでおれ個人の問題だ」
そう告げるとゼロスから手を離し、ゼルガディスさんは出口へと踵を返してしまった。
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