「リナさんッ!!」
駆けはじめて程なく。
見知った背中を見つけた私は、彼女へと声を掛けた。
「ユウ! 無事だったのね……と、アメリアは?」
「彼女なら大丈夫ですよ。きっとどんな困難にも挫けませんから」
「……それって本当に大丈夫なの?」
「まぁ、多分……」
額に汗をにじませ視線を明後日の方に飛ばす私に、リナさんが突っ込みを入れるより早く。
私は彼女に今の状況を尋ねる。
見ればリナさんは盗賊の頭とおぼしき人物を追いかけていた。
「ところで作戦はどうなりました?」
「それが、あたし達の事が最初からバレてたみたいなのよね」
………それはやはり演技に問題があったのでは?
後が恐いから口には出さないけど。
「何でこうなんのかなー? 折角立てた段取りがメチャクチャじゃないのよーっ!」
「いやぁ、そうでもないですよ?」
「ん? えっ!?」
ぼやくリナさんに声を掛けたのは私ではなく、いつの間にか後ろに現れた神官ゼロス。
「一応僕の計画通りに進んでますから」
「僕のって……ゼロスッ! これで計画通りってどういう事よっ!?」
「実は盗賊達に写本を狙う連中が来るって密告したのは、僕だったりするんです」
「ぼ……ぼぉくぅ?」
さらりと述べるゼロスに、リナさんは走る足を止めて彼を見やった。
…………なるほど。
最初からバレていたのはゼロスの所為だったのか。
それにしても、リナさんをダシに使うとはゼロスも相当恐いもの知らずの様だ。
「そんな事より……」
「ん?」
ゼロスの図太さに思考を奪われていた私は、彼の声に我にかえり、
「いよいよ写本の在りかに到着ですよ」
「……ぁ」
言われて前を見てみると、盗賊は丁度隠し部屋へと逃げ込むところだった。
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