盗賊団のアジトから外へ出ると。
───そこは火の海だった。
「…………リナさん……もしかして見境なく火炎球なんか使ってませんよね?」
「や、やだなぁ。そんな事する訳無いっしょ!」
私の言葉に、慌ててパタパタと手を振るリナさん。
これはもう『やりました』と言ったようなものである。
まぁ、どのみち盗賊団のアジト。
どうなろうと私の知ったことではないが……。
そんな事を思っていると、前方からゼルガディスさんの声が聞こえてきた。
「火の矢!」
生み出された炎の矢は、一直線に飛び、外壁の上にいるゼロスへと向かっていく。
手にした写本を見てる彼は避ける素振りも見せず、
「あ……っ!」
思わず言葉が飛び出しかけた、その瞬間。
ゼロスの前に張られた結界により、ゼルガディスさんの放った術は弾かれた。
「何だとっ!?」
「……せっかちな人ですねぇ?」
驚きの声を上げるゼルガディスさんに対し、ゼロスは写本片手に悠々としている。
と、ゼルガディスさんの隣にたどり着いたリナさんが声を荒げた。
「ちょっとゼロス! ゼルには情報を提供する約束でしょう? 降りてきなさいよ!!」
そう、最初はそういう話だったはず。
けれど、それに答えたのはゼルガディスさんだった。
「構うな……リナ。もう止めても無駄だぞ」
「ちょ、ちょっと、ゼル!」
見れば彼はうつ向き、怒りに肩を震わせ……ってその呪文はッ!?
「風魔咆……」
「あーダメダメッ!!」
「裂弾っ!!」
リナさんの制止も虚しく。
ゼルガディスさんの放った風の塊は彼を中心に弾け、辺り一帯をものの見事に瓦礫と化した。
咄嗟に地に伏せ対処した私は何とか免れたものの、リナさんはまともに巻き込まれ瓦礫の下敷きに。
ゼロスも何処かへと消え、写本だけが空からヒラヒラと舞い落ちてくる。
ゼルガディスさんは何処か満足そうに写本を手にし、
「コラーッ!! あたしはどうでも良いんかいっ!?」
その下に埋まっていたリナさんが怒りの声と共に這い出してきた。
それを見てつくづくタフな人達だと思う。
一方、慣れているのか、それをスルーしたゼルガディスさんが写本に目を通そうとした……───その時。
異界黙示録の写本は一瞬にして炎に包まれた。
ALICE+