『っ!?』
「そ……そんな」
驚きの中、どこからともなく響くのはゼロスの声。
「いやぁ、どうやらそれは僕の探していた写本とは違っていたようです」
辺りを見回しても彼の姿はどこにも見えず。
それでもゼロスは話続ける。
「今のあなた達に余計な物を見せる訳にはいきませんので、処分させて頂きました」
「な、何だとっ!?」
処分……?
異界黙示録の写本を……?
知識を?
ゼルガディスさんの驚きをよそに、私は一人ゼロスの行動を思った。
なるほど……。
多分、彼の所為で前の時間軸には私の求める物が無かったのだろう……。
物事をそつなくこなす彼の事。
きっと片っ端から異界黙示録に関する文献を処分しているに違いない。
…………そうか、無駄骨はゼロスの所為……。
「あぁ、そうそう。ゼルガディスさんの知りたがってる事もそれには記してありませんでしたからご安心下さい」
「馬鹿なっ!? それを信じろと言うのかッ!?」
無駄な苦労をさせられたのも。
さっきから散々無視されてイライラしてるのも。
全部……全部。
「信じる信じないはご自由に。いずれまたお会いする事になるでしょう。その時はまた一つ宜しくお願いします」
モヤモヤとしたくすぶる怒りの矛先を見つけた私は、小さく小さく───けれどハッキリと呟き始めた。
その横で、リナさんはゼロスに問う。
「ゼロス、あんたの本当の目的は何?」
それに答えるように私達の目の前の壁に彼の影が映り、そしてゼロスお得意の逃げ口上。
人差し指をピッと立て、
「それは……秘密で……」
しかし、その言葉が終わるより早く。
私の術が壁に向かって放たれる。
怒りに任せたその術が。
「竜破……」
「ちょっ、ユウっ!!」
「オイッ!?」
「……斬っ!!!!」
リナさん達の制止を押し切り放ったそれは、辺りを瓦礫も残らぬ更地へと変えた。
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