魔獣騒動が一段落し、リナさん達との再会を果た私は今、檻に入れられた二人のおじさんの前に居た。
聞けばこの二人、この街の魔道師協会、元理事長候補との事。
そして、騒ぎの発端。
スライムもどきの魔獣が出てきていたのが、二人の屋敷からだったらしい。
「待ってくれ! わしは何も知らんっ!!」
「えぇい! 離せ離せっ!! ワタシではないっ!!」
その二人が連行されるのを眺めながらリナさんはポツリと言う。
「自分の屋敷からあんなもんが出てきたら普通犯人扱いされるわよね。タリムかデイミア、あるいは二人とも魔獣召喚をやったんだって……」
「普通はな。だが妙なのはそこだ。同じ様な魔獣を二人同時に呼び出したりするか?」
「偶然とは言いがたいわね」
二人を乗せた馬車は紅く染まる街を進み行く。
遠くで「わしじゃなーいっ!」「ワタシではなーいっ!」と無実を叫ぶ声が響いていた。
「二人は魔道師協会に監禁されるそうです」
「ふーん。けどあの二人じゃないとしたら?」
アメリアさんの言葉に、リナさんは気の無い返事をし、誰にともなく疑問を投げ掛ける。
「他に犯人がいるって事ですか?」
「さぁね」
私の質問に、けれどリナさんは曖昧な返事をしただけだった。
「しかしそうなると……何かあるな。このアトラス・シティでは……」
「そうですね。仮にあの二人が魔獣騒動に関係がなかったとしたら、今回の事件は二人を陥れるための罠……」
「どうも引っ掛かるわ」
私達は神妙な面持ちで呟き……と、その時。
それまで黙っていたガウリイさんが、思いもよらない発言をした。
「なぁ、おい。オレが思うにはだなぁ」
「オレが思うッ!? まぁ、珍しいっ! 何か気付いたのガウリイ?」
リナさん……いくらなんでもそれは酷いのでは?
そう思ったものの、ガウリイさんの次の言葉に、辺りはそれどころではなくなった。
「オレ達の報酬はどうなるんだ?」
という一言によって。
「…………報酬?」
ガウリイさんの言わんとする事が分からずに、私は彼女達を見る。
するといきなり、リナさんの絶叫が街に響き渡った。
「あ゛あぁぁぁぁっ!?」
「わたし達まだ貰ってませんっ!!」
「あたし達だってそうよ!」
「だが雇い主は二人ともあの中だぞ?」
「ダーメッ! そんなのダメーッ!! タリムだけでも返してぇっ!!」
言う内にもリナさんは走りだし、アメリアさんガウリイさんもそれに続く。
「デイミアさんを出してーっ!!」
「よせ! オレ達も犯人にされちまうぞっ!?」
取り残されたのはゼルガディスさんと、未だ状況を理解できていない私。
ゼルガディスさんはポリポリと頭を掻くと溜め息を吐き、
「……おれ達も行くか」
「……まぁ、それは良いんですけど。一体何がどうなってるんですか?」
「ん……? あぁ、そうか。お前さんは居なかったから知らんのか」
リナさん達を追い掛けながら尋ねると、ゼルガディスさんはかい摘まんで説明してくれた。
なんでもリナさん達がニャラニャラとニョヘロンで決別した後、タリムさんとデイミアさんからそれぞれに依頼があったらしい。
その内容は『自分の命を狙う、相手側の用心棒』を倒して欲しいというもの。
破格の報酬につられ、リナさん達はタリムさんの、ゼルガディスさん達はデイミアさんの用心棒を引き受け、そして色々あった末、あの魔獣が街を埋めつくし始めた……。
「……と言う訳だ」
「成る程、それで報酬がどうのって言ってたんですね」
「あぁ」
それにしても、結局は倒せていないのだから報酬は貰えないんじゃあ……?
思うものの、言ったところで止まりそうにない彼女達を見て、私はただただ脱力したのだった。
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