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───その後。

アメリアさんがセイルーンのお姫様という権力を笠に着て、私達はタリムさん達が監禁されている魔道師協会の牢屋前まで来ることができた。

そこで二人に詳しい事情を聞いてみようという話しになっていたのだが……。



「どうします? リナさん」

「どうすると言われても……ユウ、何か良い方法はない?」



鉄格子の間から飛び交うコップやお皿。

罵り合うタリムさんとデイミアさん。

それをしゃがみながら見ている私達。

この状態で一体どうしろというのか。

私は首を横に振り、どうしようもない事を彼女に伝えた。



「はぁ……あの魔獣の正体か、事件に関する情報をこの二人に求めようとしたのが間違いだったようね」

「だが少なくとも、この二人にあの魔獣を召喚出来たとは絶対に思えん」

「召喚魔術と言えば、一応ハイレベルな魔術ですもんね」

「魔法を使わずに低レベルな争いをしている二人には到底無理でしょう……」

「うーん、二人じゃないとすると……一体……?」



リナさんは言いながら立ち上がり、



「あ。」



カンカンッ!

危ないと注意する間もなく、タリムさん達の投げたコップやお皿がリナさんに直撃する。

一瞬何が起きたのか分からず固まるリナさん。

そして次の瞬間。

硬直から脱したリナさんは怒りの火の矢(フレア・アロー)を乱射し始めた。



「っ!? リナさん落ち着いてくださいっ!」

「お、おいリナ! 抑えて抑えて」



所構わずに乱射するものだから、私達にまで被害が及ぶ。

それを防ぐ為にガウリイさんがリナさんを後ろから取り押さえ、何とか事なきを得た。

そんなこんなしている内に、アメリアさんは何食わぬ顔でタリムさん達二人に確認する。



「本当にあの魔獣を誰が、何の目的で呼び出したのか、心当たりが無いんですね?」

「無い」

「……ナイ」



その答えを聞いた途端。

リナさんは怒りのままにガウリイさんを突き飛ばし、



「それじゃあお互いに手を出してもいないのに命を狙われて、おまけに何の関係もない行きずりの魔道師が、ほーんの気紛れにあの魔獣を呼び出しちゃったんですぅ……とでも言いたい訳っ!?」

『そ、そうとしか……』

「あのねぇ……」



頷く二人にコケるリナさん。



「とにかく、魔獣を呼び出す魔術など、ワタシにはナイナイナイのだ!」

「それじゃあ、誰かに恨まれてる……ということは無いんですか?」

「ナイッ!」



言いきりですか。

そういう人が一番危なかったりするのだが……。

取りあえず私はタリムさんにも同じ質問を繰り返した。



「貴方はどうですか? 誰か魔獣を呼び出す力のある人に恨まれてる覚えは?」

「……魔獣を召喚するような物騒な知り合いなど……ん? あぁーっ!?」

「な、何よ?」

「召喚魔術を使えそうな知り合いがおるぞ! おる! わし等に恨みを持っておる!」

「誰なんですか? それは」



興奮してるのか、タリムさんは鉄格子を掴みながら目の前のデイミアさんに訴えかける。



「アイツだ、アイツ! 前の理事長のっ!!」

「は、ハルシフォム!?」



そこまで言って落ち着きを取り戻した彼は、静かな声で語りだした。



「魔道師協会もと理事長。すべてはわし等を陥れる為に奴が仕組んだ事に違いない」



───そして。

タリムさんが言うにはその『ハルシフォム』なる人物。

魔道師内では禁忌とされている不死の研究をしていたらしい。

これは何だか嫌な予感がヒシヒシと……。

出来ることなら手を引きたい。

そんな事を思っていると、空気の読めないガウリイさんがやらかしてくれた。



「『フシ』って木とか竹とかの節か?」





ドカッ!!



「節じゃなくて不死っ! つまり死なない! 不死身ってこと、わかったぁ!?」

「……なるほど」



ガウリイさんの持っていた竹筒を取り上げ、それで殴り飛ばした後に説明するリナさん。

それより何よりガウリイさんは一体どこからその竹を……?

まぁ、前に私も突っ込まれた事があるから敢えて言及はしないけど。

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