「ゼロスッ!?」
「っ!?」
「……ん?」
思わぬゼロスの登場に、驚きの声を上げるリナさん達。
しかし私が気になったのはそちらではなく、セイグラムの方。
ゼロスが現れると、何故かセイグラムまでもが驚いていたのだ。
一体どうして……?
そう思うものの、彼の出現を快く思わないゼルガディスさんによって思考は一時中断された。
「貴様っ!? どの面さげておれの前に出てくるつもりだっ!!」
「そうよ! 一体どっから降ってわいて出たのッ!?」
ゼルガディスさんに掴みかかられたゼロスは、いつもの表情を少し困らせつつ言う。
「そう人をハエや蚊みたいに言わないで下さいよぉ」
───と。
その際に意味深な視線をセイグラムに飛ばしながら。
すると蛇に睨まれた蛙のように小さく呻いてから、セイグラムはスッ───と何処かへ消えてしまった。
どうやらリナさんもそれに気付いたようで訝しげな顔をするが、ゼロスの次の言葉に興味が一旦そらされる。
「それはともかく」
「ん?」
「実は良いことを教えてあげようかと思ってやって来たんですけど」
「え? 良い事って?」
リナさんは目をぱちくりとさせ、ゼルガディスさんに至っては渋々ながら彼から手を離し後ろに下がった。
それを見て、ゼロスは人差し指をぴっと立てると、
「魔族と不死の契約を交わした者を倒すには……」
「契約の石を壊す!」
「ん?」
その言葉が終わらぬ内に遮ったリナさんに対し、ゼロスはきょとんとする。
それには構わず、彼女は自信満々答え続けた。
「もしくは、契約を交わした魔族を倒す! もう一つ! 位の高い魔族、シャブラニグドゥの力を借りた竜破斬ならハルシフォムを倒せるかもしんないけど、ここで使えば街の半分はふっ飛ぶッ!!」
……成る程。
難しいと言っていたのはこういう事か。
確かにこれなら知っていたとしても行動には移し難い。
「いやぁ、知ってましたか。かなりな魔道師でさえ知らないマニアックな極秘情報だったのに。さっすがはリナさん」
「ま、色々知ってるって言ってもあんた程じゃないけど?」
頭をポリポリ掻くゼロスに、リナさんは訝しげな視線を飛ばす。
「異界黙示録の写本は燃やすは、セイグラムだってあんたが出てきた途端……」
そこまで言って、今度はゼロスがリナさんの言葉を遮った。
「あのぉ〜、良いんですか? こんな所で長話してて」
彼はずずぃっと彼女に顔を近づけ、まるでそれ以上話されたら困るとでも言うように話題を変える。
「ハルシフォムさんの氷、もう溶けかけてますけど」
「だあぁっ!?」
「取りあえず、契約の石を探すのが先だと思いますが」
「わかってるわよっ!!」
ゼロスの提案にリナさんは叫び返し、
「契約の石───この屋敷の何処かにあるはずよ。必ず探し出してみせるわっ!!」
その言葉に、他の三人は無言で頷き返したのだった。
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