「無駄ですよ……この屋敷をいくら探しても、契約の石を見つけることは出来ません」
ハルシフォム……。
コツコツと足音を響かせ、彼は無造作に間合いを詰めてくる。
「……っく、仕掛けてくるぞっ!」
注意を呼び掛けるゼルガディスさんの声。
それに応えたのはアメリアさんだった。
彼女はハルシフォムの前に飛び出すと、大技を繰り出す。
「得意中の得意技! 崩霊裂っ!!」
精霊魔術最大の術。
その威力は竜破斬にも匹敵すると言われる高度な技。
これなら行けるかもしれない。
淡い期待を抱きつつ、けれど決して油断はしない。
そして何と、ハルシフォムは崩霊裂すらも防ぎきってしまったのである。
「ふふっ……」
「え゛……効かなぁいっ!?」
「アメリア、下がって!」
笑みすら浮かべ佇むハルシフォムに、リナさんは危機感を覚えたのだろう。
彼女に向かって叫び、けれどその前にハルシフォムの術が完成した。
「妖影縛」
「あぁ! あぁっ!?」
「呪縛されたぞっ!」
術者の影を使って黒い槍を作り、これによって相手の動きを精神世界面から封じる技である。
アメリアさんの影は魔法の影に刺され、動く事が出来なくなってしまった。
───しかし、弱点もある。
すなわち、影には光をもって制す。
リナさんはどこからともなくサングラスを取り出し装着すると、持続時間ゼロの『明かり』を放った。
辺りに目も眩むほどの明かりが生まれ、それによりアメリアさんは呪縛から逃れられる。
へたり込む彼女をフォローする為に私達は駆け付け、そしてリナさんは続けざまに次の呪文を解き放った。
「地精道!」
その瞬間。
私達の足許へと放たれた術は、床に大きな穴を開け───……って、ちょっと!!
『うわあぁぁーっ!?』
重力に逆らう事の出来ない私達は、ものの見事に地下へと吸い込まれていったのだった。
あとがき
迷走。
不規則に方向を変えながら。
それでも前へ───……。
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