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リナさん。

今ならリナさんの気持ちがわかります。

立ち尽くす私の前に、ソレはいた。

───巨大なクモが。

無駄に自己主張して。

ゼルガディスさんはアメリアさんを庇い、糸の餌食に。

突然の攻撃に慌てて後ろを振り向いたアメリアさんも、糸に絡まり倒れる。

この状況下で、どうにか出来るのは私だけ。

けれど、わかっていても手が、足が動かない。



「ぅ……うぅっ……」



震える声。

否、身体全体が震えていた。

そう、何を隠そう私はコイツが大の苦手なのだ。

でもそんな事は言ってられない。

現にアメリアさん達が捕まってしまっているのだから。

私は若干歪む視界でソイツをキッと睨み……。

……見なきゃ良かった。

背筋に嫌な汗が流れる。

そうこうしている内に、ソレは糸を吐き出し───。

……人間、パニックに陥ると結構飛んでもない事をやらかすもんだなぁと思ったのは、後になってから。

私は印を描くと、片っ端から呪文を打ち出していた。

人はそれを『キレた』とも言う。



爆煙舞(バースト・ロンド)!」

火の矢(フレア・アロー)!」

火炎球(ファイアー・ボール)!」

振動弾(ダム・ブラス)っ!」



ほぼ間隔を置かずに放たれるそれら。

たまに倒れた二人にかすっていた様に思われるが、気にしていられる場合じゃない。

次の呪文を唱えつつ後退り───トンッと壁に背が当たり、その衝撃で詠唱が途絶えてしまった。

っ!?

後悔すれども時すでに遅く、目の前のソイツからコチラに向かって糸が飛び出る。

避けようにも動転している頭ではまともに判断できず、私はその場にしゃがみ声の限りに叫んだ。

迫り来る糸に反射的にギュッときつく目を瞑り───……そして。

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