「さて、と」
彼の用意してくれたお茶に口をつけ、ホッと一息ついた後。
「ゼロスは色々知ってるみたいだけど、質問しても良い?」
「……そうですねぇ」
尋ねる私にゼロスは考える素振りを見せると、ニッコリと笑った。
それはそれは楽しそうに。
「では一つだけお答えしましょう♪」
その答えに「……ケチ」と、思わず露呈する私の本心。
どうせなら一つと言わず、いくらでも聞いてくれくらい言ってくれればいいのに。
……まぁ、無理だろうけど。
自分でも無茶な要望と分かっていながら不満な表情をあらわにすれば、彼は口の端をひきつらせて言う。
「別に僕は答えなくても良いんですよ? 本来なら答えて差し上げる義理もないですし」
……義理って。
確かにそうだけど。
そうなんだけど。
そこはかと無く頭にくるのは何でだろう……。
「ですが一方的な話題は楽しく会話をする上で適しているとは言えませんからね。なのでユウさんからの要求も聞き入れようと───いわゆるコレは僕なりの譲歩ですよ」
……譲歩……ねぇ?
それも充分一方的だと思うけど。
指をピッと立てるゼロスに、私は呆れて溜息を吐く。
「何か色々と突っ込みどころ満載だけど……まぁそれは良いとして」
それから訝しげな視線を彼に送り、
「ちなみに一つだけ答えてくれるって言って、質問に『それは秘密です♪』なんて答えないでしょうね?」
「おや、バレちゃいましたか」
「オイ」
「いやぁ、まさか先手を打たれるとは思いませんでした」
「……ねぇ、ゼロス」
「はい?」
「実は答える気ないんでしょ」
ジト目で睨む私にゼロスは、いやぁ……と後ろ頭を掻き、誤魔化し笑いをする。
それに対してもツッコミたいのは山々だけど、この短い付き合いの中でゼロスにコチラの意見を聞き入れる気が無いのは十二分に理解出来ている。
私は溜め息一つを零して気を取り直すと、彼に念を押した。
「一つだけならちゃんと答えてくれるのね?」
「どうぞ、何なりと」
「『秘密です♪』は無しね?」
「嫌だなぁ、僕ってそんなに信用無いです?」
「うん」
「………………」
即答する私に固まるゼロス。
それを見て、私は更に駄目押しをする。
「まさかあると思ってたの?」
その言葉に。
意外にもゼロスはイジケ始めた。
ずーんと沈み、テーブルの上に『の』の字を書いていたりする。
「で、そろそろ本題に入りたいんだけど」
「…………ユウさん酷いです」
その言葉はあえて聞こえなかった事にした。
ALICE+