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「それで、ユウさんは何が知りたいのですか?」

「そうね……と、そう言えばゼロスは契約の石が何処にあるのか知ってるの?」

「……それは質問ですか?」

「いいえ、これは確認」

「成る程。それについて答えるならば『Yes』になりますね」

「…………そう」



やっぱり。

いけしゃあしゃあと述べる彼に、私は内心そう付け加えていた。

ゼロスの事だから多分そうじゃないかとは思ったのだが。

まぁ……知っていながら、『探した方が良いのでは?』とリナさんに言う辺りがゼロスらしいと言えばゼロスらしいけど。

さて、しかし。

そうなると、どうしたものだろうか?

聞きたいことはそれなりにあるのだけど……。

一番に知りたいのは契約の石の事。

次にハルシフォムの目的だけど、こちらはある程度予想がついているから良いとして。

ゼロスやセイグラムとか言う魔族の事も気になる。

そもそも何だってセイグラムは人間と契約などしたのだろうか。

魔族にとって人間は取るに足らない存在のはずなのに。

まぁ、仮面魔族の考えなど人間である私に分かるはずもないのだけど……───。



「………………」



───……ん?

ふと、自分の思考に引っ掛かりを覚え、私は瞬時に思考を巡らせる。



仮面魔族?

仮面の魔族。

……魔族が仮面。

……仮面……?



その違和感に気付いた時、全てが繋がったような気がした。

そして私は、一番の質問の有力候補『契約の石の在りか』から別の質問へと変えることにする。



「それじゃあ質問ね」

「はい、どうぞ」



幾分か小馬鹿にしたような雰囲気の彼に、私は気付かぬフリして何の迷いもなく尋ねる。

きっとそれ以外の予想は当たっているから。



「私が知りたいのは魔族、セイグラムの目的」



その言葉に、ゼロスは驚きを隠せずにいた。

余程驚いたのか、普段はニコニコと弧を描いている瞳が見開かれていたりする。



「……契約の石の所在ではないんですか?」

「まぁね」



確認を取る彼にあっさり答える私。

その後、ゼロスは何やら難しい顔で思案すると───やがてコクンと一つ頷いてみせた。



「───彼の目的、それは力の在る者を集めること」

「力の在る者?」



おうむ返しに尋ねれば、彼は再度頷く。



「はい。人間、魔族などの種族は問わずに」

「一体何の為に?」

「さぁ、ちょっとそこまでは……」



問う私に、けれどゼロスはポリポリと頬を掻いて誤魔化すだけ。

きっとこれ以上聞いても答えてくれないだろう。

答えるのは一つだけでしたからね、とか何とか言って。

そんなゼロスに食い下がるのは時間の無駄。

私は小さく吐息を吐くと、カップを傾け喉を潤した。



『力在る者』



その言葉に対し一番最初に浮かぶのは、彼女。

リナさんの事。

彼女程の力があれば、ある程度の事はやってのけてしまうだろう。

それこそ悪名とも取れる名声程度の事は。

魔族がそれに目を付けたとなると、かなり厄介な事になりそうだ。

まぁ、悪用しようとした方がリナさんに抹殺されるような気もするけど。

手を添えたカップに視線を落としながらそんなことを考えていると、それまで同じく黙っていたゼロスが不意に声を掛けてきた。



「ユウさん、一つ……僕からも良いですか?」

「ん?」



その声に顔を上げ、私は普段おちゃらけてる彼からは考えられない様な表情を目の当たりにした。

その顔……否、その目は真剣そのもの。

私は紫の瞳に圧倒されないように、不自然じゃ無い程度に微笑んだ。

それを了承と受け取ったのか、ゼロスは口を開く。



「何故、『彼の目的』が質問内容だったんですか? 僕はてっきり『契約の石』の事か、ハルシフォムさんの目的か、でなければ僕自身の目的についての事で聞かれると思っていました」

「んー、まぁ石やハルシフォムの方は大まかな予想がついたから」

「ほう?」



面白そうに笑うゼロス。

それは言外にその予想を話してみろと言っているようで。

私は香茶を片手に、先程考えていた推察を話し始めた。

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