ヤクソク(1/6)

「遂に見付けたわよ、アメリア」

「はい!」



真剣な表情を浮かべるリナさんとアメリアさん。

その様子を端で見ていた私は、呆れるを通り越し、無我の境地へと達していた───……。



「アレが夢にまで見た銀貨一枚食べ放題の店ですね!」



アメリアさんの言葉に、リナさんの気合いも十分。



「お腹の準備は良い?」

「ばっちOKです!」

「じゃ、行くわよ!」

『せーのっ!』



二人は声すらハモらせ、お店に向かって一歩踏み出す。

が、それを止めたのは、ゼルガディスさんだった。



「待て。」



リナさんの肩を掴み、うつ向くゼルガディスさん。

その様子から、怒りを抑えているのが容易に窺えた。



「まさか、どうしても寄らなければならない場所と言うのは、ココの事ではないだろうな?」

「そうだけど?」

「…………そうか」



肩を掴まれ上体を反らしながら答えるリナさんに対し、ゼルガディスさんは一言静かに呟き、そして一気に怒りを爆発させた。





「おれは! 身体を元に戻す方法を探しに一刻も早くセイルーンに着きたいと言ってるだろうっ! 大食いのどこが旅に必要な事なんだっ!!」



「大食いじゃないです! 食べ放題ですっ!!」

「同じことだ!」



彼の剣幕に押され、リナさんは後退りながら訂正するが……。

確かに。

大食いと食べ放題。

事、リナさん達にとっては同じことの様に思える。



「まぁ、良いじゃないですか。セイルーンは逃げませんよ?」



それを取り成したのは傍観していたガウリイさん……ではなく、呑気な明るい声。

ゼロスだった。



「大体、何で貴様がついて来てるんだ?」



納得の行かないゼルガディスさんは、元々良く思っていないのも手伝ってか、嫌なものを見るような顔でゼロスを見やる。



「ですから、僕も野暮用でセイルーンへ向かうところなので、ご一緒しようと」

「野暮用とは何だ」

「それは秘密です」



疑心に溢れた視線に対し、ゼロスはお得意のセリフ。

その間に割って入ったのはリナさんだった。



「どうせ異界黙示録(クレアバイブル)の写本か何か探しに行こうってんでしょ?」

「ま、そう言う事にしておきましょう」



そう言う事って……。

どうしてこうも角の立つ話し方をするのか。

人を怒らせるのが趣味としか思えない。



「では後程……行きましょうか、ユウさん」

「……は?」



急に言葉をかけられ、傍観していた私は対応できずに間の抜けた返事をしてしまう。

それに構うことなく、ゼロスは私の腕を取り歩き出した。



「ちょっ、ちょっと!」

「おい、待てっ!」

「ゼロスさんっ!?」



後ろ向きのまま、引きずられる様に連れていかれてる所為で、リナさん達が慌ててコチラにかけて来るのは分かったのだが……。

それはただ分かっただけだった。

次の瞬間には追い掛けてくる彼女達の姿は掻き消え、目の前に広がるのは暗い闇……───。

それから立ちくらみにも似た浮遊感が襲いきたのだった。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+