「遂に見付けたわよ、アメリア」
「はい!」
真剣な表情を浮かべるリナさんとアメリアさん。
その様子を端で見ていた私は、呆れるを通り越し、無我の境地へと達していた───……。
「アレが夢にまで見た銀貨一枚食べ放題の店ですね!」
アメリアさんの言葉に、リナさんの気合いも十分。
「お腹の準備は良い?」
「ばっちOKです!」
「じゃ、行くわよ!」
『せーのっ!』
二人は声すらハモらせ、お店に向かって一歩踏み出す。
が、それを止めたのは、ゼルガディスさんだった。
「待て。」
リナさんの肩を掴み、うつ向くゼルガディスさん。
その様子から、怒りを抑えているのが容易に窺えた。
「まさか、どうしても寄らなければならない場所と言うのは、ココの事ではないだろうな?」
「そうだけど?」
「…………そうか」
肩を掴まれ上体を反らしながら答えるリナさんに対し、ゼルガディスさんは一言静かに呟き、そして一気に怒りを爆発させた。
「おれは! 身体を元に戻す方法を探しに一刻も早くセイルーンに着きたいと言ってるだろうっ! 大食いのどこが旅に必要な事なんだっ!!」
「大食いじゃないです! 食べ放題ですっ!!」
「同じことだ!」
彼の剣幕に押され、リナさんは後退りながら訂正するが……。
確かに。
大食いと食べ放題。
事、リナさん達にとっては同じことの様に思える。
「まぁ、良いじゃないですか。セイルーンは逃げませんよ?」
それを取り成したのは傍観していたガウリイさん……ではなく、呑気な明るい声。
ゼロスだった。
「大体、何で貴様がついて来てるんだ?」
納得の行かないゼルガディスさんは、元々良く思っていないのも手伝ってか、嫌なものを見るような顔でゼロスを見やる。
「ですから、僕も野暮用でセイルーンへ向かうところなので、ご一緒しようと」
「野暮用とは何だ」
「それは秘密です」
疑心に溢れた視線に対し、ゼロスはお得意のセリフ。
その間に割って入ったのはリナさんだった。
「どうせ異界黙示録の写本か何か探しに行こうってんでしょ?」
「ま、そう言う事にしておきましょう」
そう言う事って……。
どうしてこうも角の立つ話し方をするのか。
人を怒らせるのが趣味としか思えない。
「では後程……行きましょうか、ユウさん」
「……は?」
急に言葉をかけられ、傍観していた私は対応できずに間の抜けた返事をしてしまう。
それに構うことなく、ゼロスは私の腕を取り歩き出した。
「ちょっ、ちょっと!」
「おい、待てっ!」
「ゼロスさんっ!?」
後ろ向きのまま、引きずられる様に連れていかれてる所為で、リナさん達が慌ててコチラにかけて来るのは分かったのだが……。
それはただ分かっただけだった。
次の瞬間には追い掛けてくる彼女達の姿は掻き消え、目の前に広がるのは暗い闇……───。
それから立ちくらみにも似た浮遊感が襲いきたのだった。
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